香港の会社を閉鎖する|登記抹消
- 7月1日
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更新日:2026年7月
香港の会社を閉めるには、三つの方法があります。登記抹消、株主による任意清算(MVL)、債権者による任意清算(CVL)です。

登記抹消 (De-registration) | 株主任意清算 (MVL) | 債権者任意清算 (CVL) | |
前提となる財務状況 | 支払能力あり | 支払能力あり | 債務超過 |
清算人の任命 | 不要 | 必要 | 必要 |
手続の簡便さ | 簡易 | やや煩雑 | 煩雑 |
費用の目安 | 低 | 中〜高 | 高 |
典型的なケース | 休眠・小規模で債務なし | 資産規模が大きい/慎重に進めたい | 支払不能の会社が対象 |
所要期間の目安 | 9〜12ヶ月 | 12〜18ヶ月程度 | 案件による |
1. 登記抹消 (De-registration)
支払能力のある小規模・休眠会社を閉鎖するもっとも簡便な方法
登記抹消は清算の簡易な方法と位置付けられています。会社登記局への申請には、条例622第750条で以下の条件が定められています。
私人会社(Private Company)または保証有限責任会社であること(銀行・保険会社など条例749(2)に該当する会社は対象外)
全株主が登記抹消に同意していること
申請直前の3ヶ月間、事業を行っていないこと
未払いの債務がないこと
係争中の法的手続の当事者でないこと
香港に不動産を保有していないこと(子会社がある場合は、子会社も香港に不動産を保有していないこと)
上記の「香港に不動産を保有していないこと」は条例に定められた要件ですが、香港以外、例えば日本に不動産を所有している場合でも、登記抹消の前に(最終の監査の前に)譲渡等で整理しておくべきです。登記抹消は会社を消滅させる手続のため、会社名義のまま資産を残すと、抹消後にその資産が名義人を失います。
なお、債務があっては登記抹消できませんので、債務を免除してもらって進める場合でも、債務免除益に税金がかかるケースがありますのでよく検討する必要があります。
また、登記抹消が完了するまでに忘れずに銀行口座の閉鎖を行っておくことも大事です。登記抹消の完了時点で残っていた資産(銀行残高を含む)は、すべて香港政府のもの(bona vacantia)になってしまいます。
登記抹消は、実際には税務局(IRD)と会社登記局(CR)という二つの役所への、二つの別々の申請で成り立っています。実際の手続の流れは以下のようになります。
最終会計期間の監査・税務申告を完了させる。 監査の前に資産・負債は整理しておきます(原則として監査済み財務諸表が必要。ただし条例5条の休眠会社は未監査での申告が認められる場合があります)。
税務局に不反対通知書(Notice of No Objection, NNO)を申請する。 Form IR1263で請求します。俗に「タックスクリアランス」と呼ばれる書類です。会社登記局への申請とは別に、この申請が必要になります。
会社登記局にNDR1を提出する。 タックスクリアランスの発行日から3ヶ月以内に、Form NDR1とタックスクリアランスを添えて提出します(この3ヶ月の期限を過ぎるとタックスクリアランスの取り直しになります)。
官報公告・異議申立期間。 会社登記局が官報(Gazette)に公告し、3ヶ月間異議申し立てがなければ、再度の官報公告をもって登記抹消が完了します。
実務上、最も時間を要するのはタックスクリアランス(NNO)の取得です。 税務局は「未納がなければ21営業日程度で発行」と案内していますが、タックスクリアランスの申請から発行まで1ヶ月〜6ヶ月程度かかるというのが実務での実感です。
最終監査の着手から登記抹消の完了までは、おおむね9〜12ヶ月が現実的な目安です。
税金、商業登記(Business Registration)の未払費用・罰金があるとタックスクリアランスが発行されません。従業員がいる場合は、解雇に伴うMPF・最終給与・長期服務金(Long Service Payment)の精算も忘れないようにします。
登記抹消の留意点 ― 責任は消えない・20年の復活リスク登記抹消で見落とされがちなのが、会社を抹消しても取締役の責任は消えないという点です。条例756条により、登記抹消で会社が解散しても、取締役・株主・マネージャーの責任は「解散していなかったのと同じように」存続し、なお追及されうると定められています。 さらに、解散した会社は解散日から20年以内であれば、裁判所(Court of First Instance)への申請によって復活させることができます。しかもこの申請は取締役や株主だけでなく、債権者を含む外部の利害関係者も行うことができます。つまり、いったん抹消したはずの会社を、後から現れた債権者が復活させて取締役の責任を追及する、という余地が20年間残るということです。 費用だけを見れば登記抹消が有利ですが、この「後々の尾」を断ち切りたいという理由から、費用をかけてでも清算(後述のMVL)を選ぶ会社も少なくありません。清算では清算人による正式な精算(債権の査定・弁済・分配)を経るため、こうした残存リスクを実質的に断ち切ることができます。 |
2. 株主による任意清算 (MVL)
株主による任意清算(MVL)と登記抹消の違いは、清算人(Liquidator)を任命するという点です。清算人が取締役に代わって清算手続を進めますので、かかる費用(会計事務所等に支払うフィー)は登記抹消よりは割高になるのが通常です。MVLは会社に支払能力がある(solvent)ことが前提で、取締役が支払能力の宣誓(Declaration of Solvency)を行ったうえで、清算人が資産を換価し、債権者に全額弁済し、残った余剰を株主に分配します。資産規模が大きい会社や、資産・負債の整理に清算人の関与が必要なケース、手続の適正性を第三者に担保させたいケースで選ばれます。最終の監査から手続完了までを含めた所要期間の目安は12〜18ヶ月程度です。
3. 債権者による任意清算 (CVL)
債務超過の会社が行う清算の方法
債権者による任意清算も清算人を任命します。株主による任意清算との違いは、会社が債務超過(Insolvency)になっているという点です。支払能力のない会社を閉める場合にこの方法を使うという理解でよいと思います。
4. まとめ
会社を閉めるもっとも一般的な方法は登記抹消です。手続自体は簡単ですが、子会社があれば譲渡する、債務超過を解消する、不動産を処分するなど、登記抹消までに決算書を整理しておく必要があります。従業員の解雇やオフィスの解約も含め、その段取りが重要になります。
登記抹消をせずに香港の会社を休眠させる場合は、以下をご参照ください。
清算手続(MVL)の詳細、および子会社を清算する際の親会社側の留意点については、こちらもご覧ください。
香港から撤退する方法として香港法人を売却するというやり方もあります。売却についてご興味のある方、香港法人の閉鎖についてもっと詳しく知りたい方は是非一度ご連絡ください。



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