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183日ルール(短期滞在者免税)

  • 8月19日
  • 読了時間: 4分

 183日ルールは正式には短期滞在者免税と言います。短期滞在者免税は租税条約 (租税協定) で規定されており、日本と香港は租税協定を締結しています。




短期滞在者免税(183日ルール)とは

 従業員の給与に対する課税権は、原則としてその従業員が役務を提供した場所(勤務した国)にあります。ただし、それを厳密に適用すると短期で海外出張をする従業員は個人所得税の申告が大変になってしまいます。

 そこで、一定の条件を満たす場合には出張先の国での課税が免除できるようにしたのが短期滞在者免税になります。その条件の一つに「183日以内の滞在」があり、183日ルールと言われています。


短期滞在者免税の条件

 次の3つの条件を全て満たす必要があります。わかりやすいように日本から香港に出張に来たケースで考えます(日港租税協定第14条)。


1. 香港での滞在期間が連続する12ヶ月で合計183日を超えないこと

2. 給与の支払いが日本法人 (雇用者) から行われていること(香港法人から支払われていないこと)

3. 日本法人が香港に保有するPE によって給与が負担されていないこと


 わかりやすく言うと、香港での滞在期間が連続する12ヶ月で183日以内で給与が全て日本法人から支払われていれば (日本法人が負担していれば) 短期滞在者免税が適用できます。


183日のカウントの仕方

 12ヶ月の期間については租税条約によって多少異なります。日本香港の租税協定では「連続する12ヶ月で183日以内」となっていますが、「一暦年で183日以内」、「一課税年度で183日以内」という租税条約もあります。国によって異なりますので注意が必要です。


 日数のカウントは「物理的に滞在した日数」でカウントします。香港滞在が数時間であっても1日でカウントします。香港で勤務をした日数ではありません。

 例えば下記のように夜に香港に到着して、翌日1日仕事をして翌々日の朝に香港を出発した場合は3日でカウントします。


取締役について

 取締役の報酬には短期滞在者免税は適用できません。



香港ではまず「60日ルール」を確認する

183日ルールの説明をしてきましたが、香港ではまず「60日ルール」を確認します。香港には、租税協定とは別に、国内法(Inland Revenue Ordinance / 内国歳入条例)に基づく 60日ルール があります。


香港内で提供した役務であっても、1賦課年度(4月1日〜3月31日)中の「訪問(visit)」の合計が60日を超えない場合、その役務は考慮しないとされています(IRO 第8(1A)(b)(ii)条、第8(1B)条)。

つまり、日本法人に雇用されたまま香港へ出張する従業員が、香港滞在が年間60日以内であれば、租税協定を援用するまでもなく香港では課税されません


60日ルールの注意点

  • 賦課年度 (課税年度) は4月1日〜3月31日です。日本の暦年ベースで60日以内でも、香港の賦課年度で区切ると超えているケースがあります

  • 日数は「物理的に香港に滞在した日数(days of presence)」で数えます。1日のうち一部だけの滞在でも1日としてカウントするため、入国日と出国日はそれぞれ1日です

  • 「60日以内」であって「60日未満」ではありません。ただし1日でも超えれば適用されません

  • あくまで「訪問(visit)」であることが前提です。香港に生活拠点を移した年の入国後の滞在などは「訪問」に当たらないと判断される可能性があります

  • 取締役報酬には60日ルールは適用されません



実務チェックリスト

出張者の香港での課税関係を判定する際は、次の順序で確認します。

  1. 香港での滞在日数は、香港の賦課年度(4/1〜3/31)で60日以内か → Yes なら香港では課税されない

  2. 60日超の場合、いずれの12ヶ月の期間でも183日以内か

  3. 給与は日本法人が支払い、香港側に費用を付け替えていない

  4. 香港にPEがあり、そのPEが給与を負担していないか

  5. その報酬は「給与」か「役員報酬」か(役員報酬なら60日ルールも183日ルールも適用なし)

  6. 香港で課税される場合、日本側で外国税額控除の適用を検討

  7. 香港での活動内容が訪問者の許容範囲を超えていないか=就労ビザの要否

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