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香港法人の取締役となっている日本居住者の個人所得税

 香港法人の取締役となっている日本居住者は個人所得税を日本で払うのでしょうか。それとも香港で支払うのでしょうか。


事例

 Aさんは日本居住者です。香港法人の取締役の一人であり、取締役としての業務は日本で行なっています。取締役報酬は香港法人からAさんに支払われています。


取締役報酬は香港と日本で二重課税されるが、租税協定で二重課税は回避できる

Aさんの個人所得税

香港

 取締役は職務の性質上(経営上の意思決定等はどこにいても可能)、役務を提供する場所を選びませんので取締役が居住している国ではなく、通常、役務を提供した会社がある国で納税義務が発生します。つまり、Aさんは香港法人に対して取締役として役務を提供していますので、香港で納税義務が発生すると考えます。


日本

 他方、日本の税法では日本居住者は全世界所得が課税対象です。日本国内源泉所得だけでなく国外源泉所得も日本で税務申告する必要があります。Aさんは日本居住者ですので香港法人から受け取る取締役報酬に関して日本で納税義務があります。


 つまり、Aさんの取締役報酬は香港と日本で課税されて二重課税となってしまいます。ただし日本と香港には租税協定があり二重課税を避けることが可能となっています。


 日港租税協定第15条に取締役報酬について規定があります。

日港租税協定第15条 一方の締約者の居住者が他方の締約者の居住者である法人の役員の資格で取得する役員報酬その他これに類する支払金に対しては、当該他方の締約者において租税を課することができる。

上記租税条約の条文をこのケースに当てはめると、

 一方の締約者(日本)の居住者(Aさん)が他方の締約者(香港)の居住者である法人(香港法人)の役員の資格で取得する役員報酬その他これに類する支払金に対しては、当該他方の締約者(香港)において租税を課することができる。


当該ケースでは香港側に課税権があることになります。


 日本側で二重課税にならないように処理をすることになりますが、日本の二重課税の排除の方法は外国税額控除です。香港で支払った個人所得税分については日本の税金から控除するという方法で二重課税を避けます。


 下記は二重課税排除のイメージです。外国税額控除には控除限度額がありますので全額控除できないこともありますが、香港の場合は日本より税率が低いので全額控除できるかと思います。


 所得税の控除限度額の計算は下記のようになります。考え方は、「日本よりも税金が高い国で課税された所得税は日本で全額は控除されません。該当する所得に日本で課税された金額が限度額になる」というものです。


ちょっとわかりにくいですが国税庁のHPに詳しい説明があります。


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