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【2026年版】BVI(英領バージン諸島)法人設立ガイド

  • 3 日前
  • 読了時間: 9分

更新日:2 日前

 オフショア法人設立を考えている人は一度はBVI(イギリス領バージン諸島)の名前を目にしたことがあるのではないでしょうか。

 BVIは、法人税が完全にゼロになる「タックスヘイブン(オフショア地域)」の中で、世界で最も多くの会社が設立されている場所です。世界のオフショア法人の約4割がBVI法人だったこともあります。

 BVIは、長年にわたり世界中の経営者や投資家に選ばれてきたトップクラスのオフショア(租税回避地)拠点であり、ケイマン法人と比較すると費用もかなり安くつきます。しかし、近年の国際的な規制強化により、昔のように「ペーパーカンパニーを作って放置すればいい」というわけにはいきません。




なぜBVI法人を選ぶのか?4つのメリット


1. 島外利益に対する法人税がゼロ

BVIの代名詞とも言えるのが「タックスニュートラル(法人税率0%)」です。BVIの島外で得た利益に対しては、法人税、所得税、キャピタルゲイン(売却益)課税、配当への源泉徴収税などが一切かかりません。かかるのは政府への年間維持手数料、現地エージェントへの手数料のみです。


2. 高い柔軟性とシンプルな企業構造
  • 取締役や株主は1名だけ(同一人物)で設立可能。

  • 現地に住む必要はなく、国籍の制限もありません。

  • 資本金の縛りが事実上なく、米ドルベースで機動的に動かせます。


3. イギリス法ベースの高度な法制度

 BVIの法律は、国際ビジネスのデファクトスタンダードであるイギリスのコモン・ロー(英米法)に基づいています。法的なトラブルが起きた際も予測可能性が高く、世界中の金融機関や投資家から「信頼できる箱」として認められています。


4. 登記簿の「一般非公開」によるプライバシー保護

 BVIでは、一般の人が他人の会社の株主名簿や取締役の氏名を自由に閲覧することはできません。競合に手の内を知られたくないビジネスや、個人の資産防衛において、このプライバシー性は今も大きな武器です。

 ただし、株主名簿・実質的支配者情報は政府の登記所への提出が義務化され、当局はアクセス可能です。詳細は後述「近年の劇的なルール変更」をご覧ください。

 

資本金はいくらから?BVI法人特有の「50,000株」のルール

 BVI法人には「最低資本金」の規制が事実上ありません(1ドルからでも設立可能)。設立時に実際に資本金を銀行に振り込んで残高証明を出す(実際の払い込み)必要もありません。

 BVI法人を設立する際は、その会社が将来的に発行できる株式の上限である「授権株式数(the maximum number of shares the company is authorised to issue)」を決定します。なお、旧IBC法時代の「授権資本(Authorized Capital)」という概念は2004年法(現行BC Act)で廃止されており、現在は「発行可能な株式の最大数」で表現するのが正確です。実務上、この授権株式数は「50,000株」に設定することがほとんどです。

 なぜ「50,000」なのかというと、BVI政府に支払う設立費用・年間維持手数料を安くすませるためです。授権株式数を50,001株以上にすると高くなります

 そのため、特別な理由がない限り、オフショア法人を設立する人のほとんどが「授権株式数は50,000株(額面1ドルなら授権資本50,000ドル相当)」という形を選択しています。

 授権株式数が50,000株といっても、設立時に50,000株発行する必要があるというわけではありません。設立時1株の発行でも問題ないです。


「昔の常識」は通用しない!近年の劇的なルール変更

BVIは国際基準(FATFやOECD)に合わせるため、ここ数年で劇的な法改正を行っています。


① 「完全な匿名」の終了(実質的支配者・株主名簿の登録義務化)

株主名簿(Register of Members/ROM)や実質的支配者情報(ROBO)を、BVI政府の登記所(Registrar)へ提出することが義務化されました。従来は登録代理人が管理するBOSSシステム上で保持されていましたが、現在は登記所への直接提出に切り替わっています。

あわせて、実質的支配者と判定される基準が従来の「持分25%以上」から「10%以上」へ引き下げられ、職業・性別・持分割合・支配の性質といった情報も求められるようになりました。これらの情報は一般公開されませんが、政府当局や法執行機関はいつでも把握できる状態です。


② 財務諸表(アニュアルリターン)の提出義務化

 以前は「帳簿をつけていれば提出不要」でしたが、現在は簡易的な財務情報(簡易な貸借対照表・損益計算書)を、決算期末から9か月以内に登録代理人(Registered Agent)へ提出することが義務付けられています(一般公開はされません)。ただし、引き続き監査は義務づけられていません。


③ 経済的実質法(ES法)による実体要件

 持株会社、金融、知財管理、船舶などの特定事業を行う場合、「BVI現地にオフィスや従業員などの実体があるか?」が問われます。実体がないペーパーカンパニーと判定されると、厳重なペナルティの対象になります。


④ 銀行口座開設のハードルが極めて高い

 法人の箱は数週間で作れても、「その法人の銀行口座を作る」のは簡単ではありません。ペーパーカンパニーに対する国際銀行の審査は極めて厳しく、フィンテックカンパニー(Airwallex等)やオフショアに強い特定の銀行を戦略的に選ぶ必要があります(詳細は後述)。

 

⚠️ 日本居住者の「節税」について(CFC税制)

 「節税」を目的にオフショア法人設立というケースは多いですが、日本に住みながらBVI法人を使って日本の税金をゼロにするというアイデアは現実的ではありません。日本には「タックスヘイブン対策税制(CFC税制)」があり、実体のない海外法人の利益は日本で合算されて課税されます。

 

BVI法人設立に必要な情報・書類チェックリスト

 BVI法人の設立手続きは、現地の登録エージェントを通じて行います。


① 決めるべき「情報」
  • 希望の会社名(第3希望まで): 末尾に「Limited」「Corporation」「Incorporated」またはその略称(Ltd. / Corp. / Inc.)をつける必要があります。

  • 会社の事業目的(Business Activity): どのようなビジネスを行う箱なのか(例:投資、Web3、知財管理など)。持株会社や金融関連などの特定事業に該当する場合、現地の実体(オフィス等)を求める「経済的実質法(ES法)」の対象になるかどうかの判定に影響します。

  • 株主および取締役の構成: それぞれ1名以上必要ですが、同一人物(1人だけ)でも問題ありません。

  • 授権資本金の額と株式の割り当て: 維持費を最安にするため、基本的には「50,000株(額面1ドル)」に設定します。


② 準備すべき「書類」(取締役・株主全員分が必要)
  • パスポートのコピー(カラー): 顔写真とサインが鮮明に写っており、有効期限が十分にあるもの。※弁護士や公認会計士等による「原本と相違ない旨の証明(認証 / Certified Copy)」を求められます。

  • 英文の住所証明書(発行から3ヶ月以内): 個人の現住所を確認するためのものです。(例:英文の銀行残高証明書、英文のクレジットカード利用明細書、または公認翻訳者が翻訳・証明をつけた公共料金の請求書など。日本語の住民票や免許証のそのままの提出は不可)。

  • プロフェッショナル・レファレンス・レター(推薦状): 公認会計士、税理士、弁護士、または既存の取引銀行などが英文で作成した「この人物は信頼できる」という推薦状です。BVI法人の設立を会計事務所やエージェントに依頼する場合は、その提携ルートで用意してもらうのが最もスムーズです。

  • 履歴書(CV / 英文): (必要な場合もあり)これまでのビジネスの経歴や、今回の法人の資金の源泉(過去にどんなビジネスで稼いだお金なのか)を説明するために、簡易的な英語の経歴書の提出を求められるケースがあります。

 

BVI法人設立の具体的な5ステップ

 法人設立手続は、現地の公認登録エージェント(Registered Agent)を経由する必要があります。手続きはエージェントが行いますので、あなたが実際に行うことは、会社設立の手数料を払い、必要な情報を提供し、用意された書類にサインをして提出すれば、数日後に会社が設立されています。ただ、どのような流れで手続が進むのかを理解しておいた方が良いでしょう。

ステップ

期間の目安

対応内容

 

1. 会社名とストラクチャーの決定

数日

希望の会社名を決め、既存の企業と重複がないかエージェントを通じて調査します。また、株主や取締役の構成を決定します。

2. KYC(本人確認)と必要書類の提出

1〜2週間

前述のチェックリストに従い、認証済みのパスポートコピー、英文住所証明書、公認会計士等からの推薦状(レファレンスレター)などを準備して提出します。

3. 登記申請と会社設立

数日

登録エージェントがBVIの商業登記所に書類を提出します。不備がなければ数日で法人登記自体は完了し、設立証明書(Certificate of Incorporation)が発行されます。

4. 役員等の初期登録

設立後15〜30日以内

2025年施行の新制度による最重要ステップです。設立後15日以内に最初の取締役(First Director)を任命し、その選任から15日以内に取締役名簿(ROD)を登記所へ提出します。加えて、株主名簿(ROM)と実質的支配者情報(ROBO)は設立から30日以内に提出が必要です。これらの期限を過ぎると罰金や「Good Standing(優良状態)」の喪失に繋がります。

5. 銀行口座の開設

数ヶ月

設立された法人の書類一式を用いて、口座開設を申請します。ここが最大の難所となります(詳細は以下のセクションで解説)。

 

銀行口座の開設

 ここが現在のBVI法人運用における最大の難所です。

 近年、伝統的なコマーシャルバンク(HSBCやOCBCなど)でのBVI法人口座開設は、現地にオフィスや従業員などの実体がない限り難しいです。

 そのため、現在は「フィンテックカンパニー」での口座開設、またはオフショア専門銀行を活用するのが主流です。

  • Statrys 香港拠点のフィンテック企業。Statrysは公式にBVI法人をサポートしています。

  • Airwallex 世界的に有名なフィンテック企業で、BVI法人も公式に口座開設の対象としています。ただしBVIはオフショア法域のため、オンボーディングの過程で通常より踏み込んだ審査と追加書類を求められることがあります。例えばCertificate of Incumbency(現況証明書)の認証付きコピーなど追加書類の提出、そして事業内容・株主構成によって可否が判断されます。

  • Caye International Bank(ベリーズ)中米ベリーズの政府から正式なライセンスを受けた、代表的なオフショア専門銀行(国際銀行)です。非居住者や海外法人向けの口座開設を広く受け入れています。申請には「公認会計士や弁護士からの英文の推薦状(レファレンスレター)」が必須となります。

  • CBIバンク オフショア法人の口座開設が可能です。ただし、「ネットバンキングが使いにくい」「送金手数料が高い」「着金に時間がかかる」などの欠点もあります。プエルトリコのIFE(International Financial Entity)ライセンスを持つ銀行で、プエルトリコはCRS(共通報告基準)に参加していません。ただし米国の規制圏内にあるためFATCAは適用され、口座開設時には税務上の自己申告(self-certification)が必要です。「CRS非参加=完全に捕捉されない」という意味ではない点に注意してください。

 

まとめ

「自分のビジネスモデルならBVIが最適なのか?」「それとも他の国(香港、シンガポールやドバイなど)が良いのか?」

BVI法人は正しく使えば強力なツールですが、CFC税制のクリアなど、専門知識が不可欠です。国際税務に詳しい専門家と自分が住んでいる国の税務の専門家の両方に相談することが必要です。



BVI法人の設立はドネクトにご相談ください。

 

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