香港では暗号資産 (仮想通貨) の売却益は課税されるか?
更新日:2026年8月
香港ではCryptocurrency (暗号資産/仮想通貨)の売却益は課税されるのでしょうか。株式の売却益の取り扱いと同様に保有目的によって課税か非課税かが決まります。

判断のポイントは「投資(非課税)」か「トレード(課税)」か
香港ではキャピタルゲイン(資本性の取引から発生した利益)は非課税です。
そのため、暗号資産であっても株式であっても、得られた利益がどちらの性質を持つかによって課税の有無が決まります。
資本利得(キャピタルゲイン) ➔ 非課税(0%)
事業利益(Trading Income) ➔ 課税(利得税)
つまり、資産の種類ではなく「どのような目的・手法で取引を行ったか」が最大の判断基準となります。
税務局(IRD)は何を見て判断しているのか?
香港税務局が発行する指針(DIPN 39)では、利益の性質を判定するために「Badges of Trade(取引の態様)」と呼ばれる基準を用いています。
具体的には、以下のような要素から総合的に判断されます。
保有期間:購入から売却までに十分な期間があるか
取引頻度:たまに行う売買か、日常的・高頻度か
取引目的:長期的な資産保全か、短期的な値上がり益狙いか
事業性:自動売買ボット、レバレッジ、専用オフィスなどを用いているか
【比較表】個人と法人での取り扱いの違い
区分 | 保有目的・取引態様 | 税務上の扱い | 課税の有無 |
個人 | 長期保有・個人の資産運用 | キャピタルゲイン | 非課税(0%) |
頻繁な短期トレード・事業規模 | 事業所得 | 課税 | |
法人 | 長期投資目的(Capital Asset) | キャピタルゲイン | 非課税(0%) |
トレーディング目的(Trading Asset) | 事業所得 | 課税 |
※個人であっても、ボットを使った高頻度トレードなどを本格的に行っている場合は「事業」と判定され、利得税(Profits Tax)の対象となる可能性があります。
株式取引との「共通点」と「違い」
暗号資産と香港株式は同じロジックで課税判断が行われますが、実務上はいくつかの違いもあります。
共通点
キャピタルゲインは非課税であること
事業とみなされた場合は利得税(Profits Tax)が課されること
主な違い
印紙税(Stamp Duty)の有無
香港株式:売買ごとに印紙税が発生します。
暗号資産:印紙税はかかりません。
「事業判定」を受けるリスク
香港株式:個人の株式取引が「事業」と認定されるケースは比較的稀です。
暗号資産:24時間取引可能で自動売買ボットによる超高頻度取引が容易なため、個人であっても「単なる投資ではなくトレード事業」とみなされ、課税対象になりやすい点に注意が必要です。
まとめ
香港で暗号資産の運用を行う場合、基本的には「株式と同じく、長期投資なら非課税、事業的なトレーディングなら課税」という認識で問題ありません。
ただし、自身が得た利益を「キャピタルゲイン(非課税)」として主張できるかどうかは、取引履歴や保有期間などの客観的なデータに基づき、税務局が個別に判断します。
IRDの公式見解:DIPN 39(改訂版)香港税務局(IRD)が発行する実務解釈指針第39号改訂版「Profits Tax – Digital Economy, Electronic Commerce and Digital Assets」(DIPN 39 revised)は、パラグラフ41から52でデジタル資産の取扱いを説明しています。 長期投資目的の保有(パラグラフ46)DIPN 39は、資本性資産の売却益は利益税の対象外であるとしたうえで、ICOや取引所を通じて長期投資目的で取得したデジタル資産の処分益は課税対象とならないと明記しています。 そのうえで、資本性資産か棚卸資産(trading stock)かは事実と状況に基づいて判断され、"badges of trade" のような確立された税務原則が適用されること、そして取得時にどのような意図で取得したかが常に判断に関係することを示しています。 暗号資産特有の判定要素(パラグラフ48)DIPN 39は暗号資産について、事業に該当するかを判断する具体的な要素も挙げています。
明確な数値基準(何か月保有すれば長期投資とみなされる、年間何回の取引を超えると事業になる等)は存在しません。総合判断です。 補足:badges of trade とは 取引の性質が資本性かトレーディングかを判断する際に考慮される6つの事項を指します。①取引対象の性質(subject matter)②保有期間(length of period of ownership)③同一人による同種取引の頻度・回数(frequency or number of similar transactions)④対象資産に付随して行われた作業(supplementary work)⑤動機(motive)⑥処分に至った事情(circumstances responsible for the realisation)。 DIPN 39改訂版はパラグラフ3において、2020年に新たな国際課税ルールが導入されることを踏まえ、本指針はさらなる更新を要する見込みであると述べています。しかし、本稿執筆時点でも2020年3月版のままとなっています。 |
※免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、法的なアドバイスや税務申告の保証を行うものではありません。具体的な税務上の判断や手続きについては専門家にご相談ください。

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