香港法人の減資手続と会計処理【2026年版】
- 7月8日
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更新日:2026年7月
事業縮小に伴う余剰資本の払い戻しや、累積損失(欠損)の整理のために「減資」を検討する機会があるかと思います。香港法人の減資はどのような手続きで行い、どのような会計処理になるのでしょうか?
2014年の会社条例改正で導入された「裁判所を通さない減資(Court-free)」の手続きから、登記局へ提出する書式(NSC19 / NSC20)、そして会計処理の具体例まで解説します。

減資とは(香港の資本制度との関係)
減資とは、会社の資本金(Share Capital)を減少させることをいいます。
香港では2014年施行の会社条例(Companies Ordinance, Cap.622)により、授権資本(Authorized Share Capital)や額面株式(par value)の制度が廃止され、発行済株式・払込済株式で資本を整理する「無額面株式制度」に移行しています。減資もこの制度を前提に、以前の裁判所の許可を必要とする方法に加え、裁判所を通さない簡易な手続き(Court-free)が利用できるようになりました。
減資の2つの方法
香港の減資には、以下の2つの手続があります。支払能力に問題のない会社は通常①の裁判所を通さない方法を利用します。
ルート | 根拠条文 | 提出書式 | 主なケース |
① 支払能力証明書による減資(Court-free) | 会社条例 第215〜225条 | Form NSC19 Return of Reduction of Share Capital (by Special Resolution Supported by Solvency Statement) | 支払能力に問題がなく、株主・債権者からの異議が想定されない一般的なケース |
② 裁判所の確認による減資(Court process) | 会社条例 第226〜232条 | Form NSC20 Return of Reduction of Share Capital (Confirmed by Court) | 債権者等からの異議が予想される場合、取締役間で支払能力の見解が分かれる場合など |
裁判所を通さない減資の手続
手続きは以下のとおりで、特別決議から最短5週間、全体で概ね2ヶ月程度かかります。
1)支払能力証明書(Solvency Statement)への署名(第216条)全ての取締役が支払能力証明書に署名します。これは「減資を実施しても会社が支払能力テスト(Solvency Test)を満たす」という取締役の意見を表明するものです。具体的には、「減資の直後に会社が債務を弁済でき、かつ今後12ヶ月間も債務を弁済できる」という内容です。 旧会社条例と異なり、支払能力証明書に監査人のレポートを添付する必要はありません。取締役自身が会社の財政状態と見通しを調査したうえで判断します。 |
2)株主総会での特別決議(第217条)支払能力証明書の日付から15日以内に、株主が特別決議(議決権の75%以上)で減資を承認します。 |
3)公告と登記局への提出(第218・219条)特別決議後7日以内に、以下を行います。
特別決議と支払能力証明書は、公告日(または債権者への通知日)から後述の異議申立期間の終了まで、登記事務所で株主・債権者が閲覧できる状態にしておく必要があります。 |
4)異議申立期間(5週間)(第220〜222条)特別決議が可決された日から5週間は、決議に賛成しなかった株主または債権者が、裁判所に対して決議の取消しを申し立てることができます。 (注)この5週間の起算日は「公告日」ではなく「特別決議の日」です。裁判所は、申立てがあった場合、決議を確認または取り消す命令を出します。 |
5)減資申告書(NSC19)の提出と効力発生(第224条)異議申立てがなければ、特別決議の日から5週間経過後・7週間以内に、減資申告書(Form NSC19)を会社登記局へ提出します。減資は、この申告書が登記局で登録された時点で効力が発生します。 |
減資の会計処理
減資を実施した際の会計処理を、簡単な例で見てみましょう。
減資前の決算書

減資前の状態です。資本金400、利益剰余金100、負債はなくて資産は現金500のみです。
減資をして株主に現金を払った

資本金100を減資して株主に戻しました。
(仕訳)
資本金 / 現金 100
減資をしたけど現金は払っていない

資本金100を減資しましたが現金は株主には払っていません。資本金は資本剰余金に振り替えます。
(仕訳)
資本金 / 資本剰余金 100
実務上の留意点
銀行等との契約:銀行融資などの契約に、減資に際して相手方の同意を要する条項がないか確認が必要です。
日本親会社側の税務:有償減資で香港子会社から日本親会社へ資金を払い戻す場合、日本側では受取額が「みなし配当」部分と「資本の払戻し」部分に区分され、それぞれ課税関係が異なります。
上記の通り減資は以前よりも簡単に行えるようになりました。減資をご検討中でご質問がある場合は、ぜひお問い合わせください。 >> お問い合わせ
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