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香港法人の減価償却費について

更新日:2022年2月15日

 香港法人が持つ固定資産の減価償却費はどのように計上すれば良いのでしょうか。会計と税務ではどのような差異があるのでしょうか。


1. 会計上の減価償却


 日本では法人税法に定められた耐用年数、残存価額を会計上も使っている会社が多いかと思いますが、香港では税法の減価償却方法を会計で使うことはありません。会計基準に従って計上します。香港の会計基準であるHKFRSはIFRSとほぼ同じものですのでIFRSと同じように考えます。


 償却方法は、資産の将来の経済的便益を消費されると予測されるパターンを反映した方法であり、

耐用年数は企業にとってその資産を使用できると期待する期間であり、残存価格は耐用年数が到来した時に予想されるその資産の売却可能価格になります。


表は例示になります。オフィス家具は3年から5年で残存価格無しの定額法で償却するというのが多いようです。



 また、『 日本では10万円未満のものを購入した際には一括で費用処理しているが、香港ではいくらぐらいを基準に費用処理するのが適当か? 」という質問をよく耳にしますが、香港では、この金額であれば費用処理できるという基準はありません。


 

2. 税務上の減価償却

 

工業用建物、商業用建物、設備及び機械の3つに区分します。


工業用建物

定額法4%

初年度特別償却20%


商業用建物

定額法4%


設備及び機械

定率法10%、20%、30%のいずれかの率を資産の種類に応じて適用

初年度特別償却60%


設備及び機械はプーリング・システムで計算します。10%、20%、30%の償却率に区分される資産ごとに金額を合計してその残存価格に償却率を乗じて減価償却額を計算します。

<例>

この表は1期、2期に設備を新規取得して、その設備の償却率が20%だった場合の計算になります。固定資産別に減価償却計算するのではなく償却率が同じ固定資産をまとめて(プールして)償却率を乗じます。



設備及び機械(Machinery and Plant)に適用される償却率はDIPN No.7(Revised) のAPPENDIXで確認できます。


また、コンピューターのハードウェア・ソフトウェアに関する資本的支出は、取得したその期に100%の償却が可能です。

 


3. 課税所得の計算


課税所得を計算する際には、会計上の利益に会計上の減価償却費を加算して、税務上の減価償却費を減算します。

簡単な具体例で説明します。

オフィス家具を期首に価額1,000で取得

会計

定額法で5年で償却

1,000 x 20% = 200が減価償却費になります。


税法

初年度特別償却費+定率法20%で償却

1,000 x 60% = 600が初年度特別償却費

(1,000 - 600) x 20% = 80が税務上の減価償却費になります。

初年度は600+80 = 680が償却されます。





税引前利益を5,000とします。

税金計算書で会計上の減価償却費の200を加えて、初年度特別償却費600と税務上の減価償却費80を差し引きます。

課税所得は4,520となります。



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