香港法人の減価償却費について
更新日:8月7日
更新日:2026年8月
香港法人が持つ固定資産の減価償却費はどのように計上すれば良いのでしょうか。会計と税務ではどのような差異があるのでしょうか。

1. 会計上の減価償却
日本では法人税法に定められた耐用年数、残存価額を会計上も使っている会社が多いかと思いますが、香港では税法の減価償却方法を会計で使うことはありません。会計基準に従って計上します。香港の会計基準であるHKFRSはIFRSとほぼ同じものですのでIFRSと同じように考えます。
償却方法:資産の将来の経済的便益が消費されると予測されるパターンを反映した方法
耐用年数:企業がその資産を使用できると期待する期間
残存価額:耐用年数が終了した時点で、その資産を処分した場合に得られると予想される金額

表は例示です。オフィス家具は3年から5年で残存価格なしの定額法で償却することが多いようです。
少額資産の即時費用処理について
『 日本では10万円未満のものを購入した際には一括で費用処理しているが、香港ではいくらぐらいを基準に費用処理するのが適当か? 」という質問をよく耳にしますが、香港では、この金額であれば費用処理できるという基準はありません。
2. 税務上の減価償却
税務上は、資産を工業用建物・商業用建物・建物の改装費・設備及び機械に区分して計算します。会計上の減価償却費とは異なる計算方法になります。
工業用建物
定額法4%
初年度特別償却20%
商業用建物
定額法4%
建物の改装費
5年均等控除
事業用建物のリノベーション・改装に係る資本的支出は、支出年度から5年間にわたって20%ずつ均等に控除します。
賃借オフィスや店舗の内装工事費は、工事の内容ごとに振り分けます。
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設備及び機械
定率法10%、20%、30%のいずれかの率を資産の種類に応じて適用
初年度特別償却60%
設備及び機械はプーリング・システムで計算します。10%、20%、30%の償却率に区分される資産ごとに金額を合計してその残存価格に償却率を乗じて減価償却額を計算します。

<例>
この表は1期、2期に設備を新規取得して、その設備の償却率が20%だった場合の計算になります。固定資産別に減価償却計算するのではなく、償却率が同じ固定資産をまとめて(プールして)償却率を乗じます。
設備及び機械(Machinery and Plant)に適用される償却率はDIPN No.7(Revised) のAPPENDIXで確認できます。
即時に全額控除できる支出
コンピューターのハードウェア・ソフトウェアに関する資本的支出は、取得したその期に100%の償却が可能です。他にも以下の支出は支出した年度に全額を控除できます。
支出の種類 | 適用開始 | 根拠 |
コンピュータのハードウェア・ソフトウェア | — | IRO s.16G |
製造業に特に関連する設備及び機械 | — | IRO s.16G |
環境保護機械(environmental protection machinery) | 2008/09年度〜 | IRO s.16I |
環境保護設備(environmental protection installation) | 2018/19年度〜 (従来は20% × 5年) | IRO s.16I |
環境配慮型車両(EV等) | 2010/11年度〜 | IRO s.16I |
3. 課税所得の計算
課税所得を計算する際には、会計上の利益に会計上の減価償却費を加算して、税務上の減価償却費を減算します。

簡単な具体例で説明します。
オフィス家具を期首に価額1,000で取得
会計
定額法で5年で償却
1,000 x 20% = 200が減価償却費になります。

税法
初年度特別償却費+定率法20%で償却
1,000 x 60% = 600が初年度特別償却費
(1,000 - 600) x 20% = 80が税務上の減価償却費になります。
初年度は600+80 = 680が償却されます。

税引前利益を5,000とします。
税金計算書で会計上の減価償却費の200を加えて、初年度特別償却費600と税務上の減価償却費80を差し引きます。
課税所得は4,520となります。
この課税所得に税率を乗じて税額を算定します。



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