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香港法人の増資手続と資本制度【2026年版】

  • 7月7日
  • 読了時間: 4分

更新日:2026年7月


 事業拡大や資金調達のために「増資」を検討する機会があるかと思います。香港法人の資本制度や具体的な増資の手続きはどのように定められているのでしょうか?

 2014年の会社条例改正による「無額面株式制度」の基本から、実務で重要となる会社法第170条に基づく資本金変更の手法、そして登記局へ提出する使い分け(NSC1 / NSC11)まで、2026年現在の最新情報に基づいて分かりやすく解説します。



香港の資本制度

2014年から施行された新会社条例の下では授権資本 (Authorized Share Capital)、額面株式 (nominal value/par value) の制度は廃止となりました。現行の法令上は、発行済株式 (issued capital)、払込済株式 (paid-up capital) で整理されています。


例えば普通株式を10,000株、100,000香港ドルで発行済で、全て払込済みであれば下記のようになります。授権資本 (Authorized Share Capital) の考え方はありません。



資本金 (Share Capital) を変更する

会社法第170条によると、香港法人 (Limited company) は以下の方法で資本金 (Share Capital) を変更することができます。


(a) 新株を割当発行して資本金を増加させる。

(b) 新株を発行せずに資本金を増加させる。

(c) 利益を資本に組み入れる。

(d) 株式資本を増加させるかどうかにかかわらず、新株を割り当て発行する。

(e) 株式の分割または。

(f) 下記の株式を消却する。

 (i) 消却の決議がなされた時点で取得されていない、あるいは取得することに合意していない株式。

 (ii) 権利を喪失した株式。


提出フォーム(NSC1 と NSC11)の使い分け

資本金の変更を行った場合、その内容が「新株の発行(株式の割当て)を伴うか否か」によって、香港会社登記局(Companies Registry)へ提出する法定書類(フォーム)が異なります。いずれも手続き完了から1ヶ月以内の提出義務があります。

手続きの性質

提出するフォーム

該当する主なケース

新株の割当て(発行)を伴う変更(会社法第142条に基づく)

フォーム NSC1

Return of Allotment of Shares

一般的な金銭出資による増資・ボーナス株(無償株)の発行

新株の発行を伴わない変更(会社法第170条に基づく)

フォーム NSC11

Notice of Alteration of Share Capital

株式の発行を伴わない資本金増額・株式分割 / 株式併合・未取得株式の消却


実務における増資の手続きフロー

一般的な「金銭出資による新株発行(フォームNSC1の提出ケース)」を行う場合、実務は以下の4つのステップで進行します。


ステップ 1:社内決議(取締役会・株主総会) 増資の金額、発行株式数、引受人を決定し、取締役会(Board of Directors)で決議します。また、原則として株主総会(または臨時株主総会: EGM)による承認が必要です。
※ただし、過去の株主総会において「取締役に対する株式割当権限の事前授与(会社法第141条)」の決議がなされている場合は、株主総会をスキップして取締役会決議のみで迅速に発行することが可能です。

ステップ 2:増資資金の払い込みと着金確認(または未払込での発行)

出資者は、決定された金額を香港法人の銀行口座へ送金します。米ドルや日本円などの外貨のまま資本金として登記することが可能です。


【実務のポイント】必ずしも即時全額払込が必要なわけではない

香港の会社法では、増資の時点で資金が全額払い込まれている必要はなく、「未払込株式(Unpaid Shares)」「一部払込株式(Partly Paid Shares)」として新株を発行・登記することも可能です。ただし、未払であっても株主は将来的に残額を払い込む法的義務を負います。日系企業の実務では即時全額払い込むケースが多く見られます。


ステップ 3:会社登記局(Companies Registry)への申告 増資(株式の割当)が確定した日から「1ヶ月以内」に、必要事項を記入したフォームNSC1を会社登記局にオンラインまたは書面で提出し、登録を行います。この期限を過ぎるとペナルティが発生します。

ステップ 4:株主名簿の更新と新株券の発行 登記申請と並行して、会社秘書役(カンパニーセクレタリー)が株主名簿(Register of Members)の情報を最新にアップデートします。また、新しく株主となった(あるいは持ち株数が増えた)メンバーに対して、正式な株主証書(Share Certificate)を発行・交付します。
近年の香港会社法改正

 2025年4月17日に施行された「2025年会社(修正)条例(Companies (Amendment) Ordinance 2025)」の改正により、香港市場に上場する企業を対象に「自己株式(Treasury Shares)制度」が正式に導入されました。

 従来、香港法人が自社株を買い戻した際は、法律上『自動的に即時消却』される義務があり、金庫株(自己株式)として保有することはできませんでした。2025年4月の法改正により、これが上場企業に限り保有・再売却が可能となりましたが、一般的な非上場(プライベート)企業においては、2026年現在も自社株買いの際は『即時消却』のルールが適用されます



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