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香港の会計基準【2026年版】HKFRS・HKFRS for PE・SME-FRSの違いと適用要件

10月10日
読了時間: 4分

香港法人の財務諸表は、香港公認会計士協会(HKICPA)が公表する会計基準に従って作成します。基準は「HKFRS」「HKFRS for PE」「SME-FRS」の3つで、会社の規模や性格によって使えるものが決まります。

3つの基準の違いと適用要件、2027年から始まる改正を整理します。



3つの会計基準の比較

 

HKFRS

HKFRS for PE

SME-FRS

性格

IFRSと実質同一

IFRS for SMEsの香港版

香港独自の簡易基準

使える会社

すべての会社(上場会社・銀行等は必須)

公的説明責任のない会社(規模要件なし)

会社条例の「報告免除」に該当する会社(SFCライセンス業者などは不可)

測定

公正価値の適用範囲が広い

原則、取得原価(上場株式・投資不動産などは公正価値)

取得原価

リース

HKFRS 16(原則オンバランス)

HKFRS 16不適用

HKFRS 16不適用

キャッシュ・フロー計算書

必要

必要

不要

持分変動計算書

必要

必要(一定の場合は簡略化可)

不要

繰延税金

必要

必要

不要

近年の改正

HKFRS 18・19(2027年〜)

全面改訂(2027年〜)

今回の改訂の対象外

 


1. HKFRS(香港財務報告基準)


HKFRS(Hong Kong Financial Reporting Standards)は、香港の原則的な会計基準です。HKICPAは2005年以降IFRS(国際財務報告基準)との完全なコンバージェンスを方針としており、内容はIFRSと実質的に同じです。現在は「HKFRS Accounting Standards」と表記されます。

そのため、日本基準とHKFRSの主な差異は、日本基準とIFRSの差異と同じと考えて差し支えありません。


2027年から適用される新基準

  • HKFRS 18(財務諸表における表示及び開示):HKAS 1に代わる基準です。損益計算書の区分(営業・投資・財務)と小計の表示が変わります。2027年1月1日以後開始する事業年度から適用されます。

  • HKFRS 19(公的説明責任のない子会社:開示):親会社がIFRS準拠の連結財務諸表を公表している子会社は、開示を簡素化できます。日本の親会社が日本基準で連結財務諸表を作成している場合は対象になりません。こちらも2027年1月1日以後開始事業年度から適用です。


2. HKFRS for PE(HKFRS for Private Entities)


HKFRS for PEは、国際会計基準審議会(IASB)が中小企業向けに作成したIFRS for SMEsの香港版です。公的説明責任のない会社が任意に適用できます。規模の要件はありません。

公的説明責任のない会社とは、非上場で、かつ銀行・保険・証券会社など顧客の資産を預かることが本業ではない会社です。一般的な貿易会社やサービス会社、持株会社はこれに当たります。

実務では、規模が大きくSME-FRSの要件を満たさない非上場会社が、フルHKFRSの負担を避けるために使うケースが中心です。


2027年からの全面改訂

IASBが2025年2月にIFRS for SMEsの第3版を公表したことを受け、HKICPAは2025年4月にHKFRS for PEを全面改訂しました。

  • 適用開始:2027年1月1日以後開始する事業年度(早期適用可)。12月決算の会社であれば2027年12月期からです

  • 移行方法:原則として遡及適用

  • 主な変更:収益認識にHKFRS 15をベースとした5ステップモデルを導入、金融商品の開示(年齢分析・満期分析)の追加など

  • リース(Section 20)はHKFRS 16に合わせた改訂は行われず、従来どおり


3. SME-FRF & SME-FRS


SME-FRS(Small and Medium-sized Entity Financial Reporting Standard)は、HKFRSを大幅に簡略化した香港独自の基準です。SME-FRF(Financial Reporting Framework)が適用対象を定め、SME-FRSが会計処理を定めています。


使える会社:会社条例の「報告免除」

SME-FRSを使えるのは、会社条例(Cap. 622)第359条の「報告免除(reporting exemption)」に該当する会社です。私人会社の場合、主なパターンは次のとおりです。


① 小規模私人会社:次のうち2つ以上を満たす会社。株主の承認は不要です。

年間収入 1億香港ドル以下/総資産 1億香港ドル以下/平均従業員数 100人以下

② 適格私人会社(eligible private company):次のうち2つ以上を満たし、議決権の75%以上を有する株主が決議し、反対する株主がいない会社。

年間収入 2億香港ドル以下/総資産 2億香港ドル以下/平均従業員数 100人以下

③ 株主全員の書面同意:企業グループに属さない私人会社は、規模にかかわらず、株主全員が書面で同意すれば該当します。日本法人の子会社はグループに属するため、この方法は使えません。

子会社がある香港法人はグループ全体で判定します(グループには香港以外の会社も含めることができます)。


SME-FRSを使えない会社

銀行、SFC(証券先物委員会)のライセンス業者、保険会社(保険代理店のみの場合を除く)、業として預金を受け入れる会社は、規模にかかわらずSME-FRSを使えません。SFCのライセンス業者は、ライセンスの種類にかかわらず、実務ではHKFRSで財務諸表を作成するのが一般的です。保険ブローカーは条文上SME-FRSを使えない業種には含まれませんが、実務ではHKFRSで作成する例が一般的です。


SME-FRSの主な特徴
  • 原則として取得原価で測定

  • 財務諸表は財政状態計算書(B/S)・損益計算書・注記で構成し、キャッシュ・フロー計算書と持分変動計算書は作成しない

  • 繰延税金は計上しない(当期の税金のみ計上)

  • リースにHKFRS 16は適用されない


なお、SME-FRSは今回のHKFRS for PEの改訂の対象ではありません。


参考資料
  • HKICPA:HKFRS for Private Entities Information Centre

  • 香港会社登記処(Companies Registry):FAQ – Accounts and Audit

  • 会社条例(Cap. 622)第9部 第359条〜第366条

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