外務省の海外在留邦人数は実態より多い?現地政府の統計と比べてみた
外務省の「海外在留邦人数調査統計」によると、香港に住む日本人は2万3,228人(2025年)です。一方で、香港では「実際はもっと少ない」という声をよく聞きます。そこで、外務省の数字を現地政府の統計と比べてみました。香港・ロンドン・台湾のいずれでも、現地統計は外務省の数字より少なく、香港とロンドンでは半分前後でした。
都市別の外務省の数字は、都市別海外在留邦人数(2025年版)をご覧ください。

外務省と現地統計の比較
3地域とも現地統計の方が数が少なく、香港は外務省の数値の約4割、ロンドンは約5割、台湾は約7割です。
地域 | 現地統計(基準時点) | 外務省(基準時点) | 外務省比 |
香港 | 10,291人(2021年6月) | 24,097人(2021年10月) | 約43% |
ロンドン | 16,414人(2021年3月) | 32,371人(2021年10月) | 約51% |
台湾 | 15,811人(2025年9月) | 21,755人(2025年10月) | 約73% |
ロンドンは大ロンドン33区の合計、外務省は「大ロンドン市」の数字です。香港とロンドンはコロナ禍の2021年の調査です。香港はコロナ前の2016年にも9,976人で、外務省(2017年、25,004人)の約4割でした。
統計ごとの数え方の違い
現地統計は3つとも数え方が違うため、地域ごとの比率(香港43%、台湾73%など)をそのまま比べることはできません。また、いずれも外務省の在留届とは数える対象が異なります。
統計 | 何で数えるか | 含まれない人の例 |
外務省 | 在外公館に提出された在留届(3か月以上の滞在) | 在留届を出していない人 |
香港 人口普查 | 本人申告の「種族」 | 「華人」「混血」と申告した日本国籍者、基準時点に香港を離れていた非永住者 |
英国 国勢調査 | 保有パスポート | 英国・アイルランドのパスポートも持つ人 |
台湾 移民署 | 有効な居留証の登録 | 台湾籍も持つ人、基準時点に台湾を離れていた人 |
香港の人口普查は全世帯が対象で、2021年6月30日午前3時を基準時点としています。英国の国勢調査は2021年3月21日時点で、回答は法律上の義務、回答率は97%です。未回答者は別の抽出調査をもとに推計で補われています。台湾は2025年9月30日時点で、有効な居留証を持ち実際に台湾にいた人の登録数です。
なぜ外務省の数字は多めに出るのか
外務省の数字は在留届をもとにした推計のため、帰国届を出さずに帰国した人の記録が残ります。駐在員の入れ替わりが多い香港のような都市では、こうした記録が積み上がりやすいと考えられます。
一方で、在留届を出していない人は外務省の数字に入りません。外務省自身も、在留届を提出・更新していない邦人がいる前提で、提出・更新を呼びかけていると統計に明記しています。語学留学や教育移住が多い都市では、逆に外務省の数字が少なめに出る可能性もあります。
外務省の数字をどう読むか
外務省の数字は「在住者数」の人口統計ではなく、在外公館が把握している邦人の数を示す業務統計です。統計の目的も、邦人の保護や領事政策の基礎資料と説明されています。
そのため、数の水準は在住者数の上限に近い値として読み、毎年の増減の傾向を見るのに使うのが無難です。
出典
外務省「海外在留邦人数調査統計」令和3年(2021年)・令和7年(2025年)10月1日現在、令和3年版の推移表(2017年)
香港政府統計処「2021年人口普查 主題性報告:少數族裔人士」表3.1
英国国家統計局(ONS)「Census 2021 TS013 Passports held (detailed)」(大ロンドン33区の日本のパスポート保有者を合計)
台湾内政部移民署「2025.9 Foreign Residents by Nationality」(日本の男女の合計)

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