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香港で源泉税が発生するケース|ロイヤルティの税率4.95%と16.5%

10月21日
読了時間: 4分

日本では、給与・弁護士報酬・配当などを支払う際に、支払う側が税金を差し引いてから支払います。香港にはこうした一般的な源泉徴収の制度はありません。ただし、香港外の者にロイヤルティを支払う場合など一部のケースでは、支払う側が税額分を差し引いて納税する必要があります。




1. 香港では原則として源泉徴収はない

支払の種類

香港での源泉徴収


給与

なし(従業員本人が個人所得税を申告・納税)


弁護士・コンサルタント等への報酬

なし


配当

なし


利子

なし


香港外の者へのロイヤルティ

あり


香港外の者にロイヤルティを支払う場合に源泉税が発生します。このほか、香港で公演を行う海外の芸能人・スポーツ選手への報酬も、支払者が税額分(報酬の10%または11%)を控除します。


2. 対象となるロイヤルティ


香港税務条例(Cap.112)第15条(1)により、次の支払いは香港で生じた事業収入とみなされます。受取側が香港で事業を行っていなくても課税されます。


  • 香港で使用される特許・商標・意匠・著作権・ノウハウ等の使用料(s.15(1)(b))

  • 香港外で使用される知的財産権の使用料のうち、支払った香港法人が損金算入するもの(s.15(1)(ba))

  • 映画・テレビ番組・録音物などの香港での上映・使用料(s.15(1)(a))


よくあるのは、香港子会社が日本の親会社に商標やノウハウの使用料を支払うケースです。

この税金は、ロイヤルティ等を支払う香港法人が税額分を差し引いて支払い、預かった税額を納付します。差し引かずに全額を送金した場合も、納税義務は香港法人にあります。


3. 税額の計算(原則4.95%)


ロイヤルティの30%を所得とみなし、これに法人税率16.5%を掛けます。


ロイヤルティ100の場合

みなし所得 30 × 16.5% = 税額 4.95

支払額は 100 − 4.95 = 95.05

実効税率は 4.95%


受取人が個人の場合は税率が15%となり、みなし所得 30 × 15% = 税額 4.5(実効税率 4.5%)


二段階税率について

受取側が二段階税率の適用を受けられる場合、みなし所得のうち最初のHK$200万には8.25%が適用され、実効税率は2.475%になります。ただし、二段階税率を使えるのは関連会社グループで1社だけです。香港子会社自身が二段階税率を選択していれば、親会社のロイヤルティには適用できません。また、IRDは、支払時には二段階税率が適用されないものとして税額を留保するよう示しています。


4. 16.5%になるケース


次の2つの条件をともに満たす場合は、ロイヤルティの全額(100%)が所得とみなされ、税率は16.5%になります(s.21A(1)(a))。

  1. 支払先が関連者(親会社・グループ会社など)である

  2. その知的財産権を、過去のいずれかの時点で、香港で事業を行う者が全部または一部所有していた


典型例は、香港法人が自社で開発した商標を海外の関連会社に移転し、その使用料を支払う形にするケースです。

日本の親会社が日本で開発・登録した商標やノウハウを香港子会社にライセンスする通常のケースでは、関連者間であっても30%(4.95%)が適用されます。所有の経緯が複雑な場合は、IRDに事前照会(Advance Ruling)を申請して、30%の適用を確認することもできます。


5. 日港租税協定との関係


日港租税協定では、ロイヤルティの源泉税率の上限は5%です。

  • 原則の4.95%は5%を下回るため、協定を使っても税率は下がりません。

  • 16.5%(100%みなし)が適用される場合は、IRDの実務指針(DIPN 22)により、協定の税率は使えません。


つまり、日本法人がロイヤルティを受け取る通常のケースでは、協定によって香港の税負担が軽くなることはありません。

→ 租税条約の税率は「日本・香港租税条約の配当・利子・ロイヤルティの源泉税率」をご覧ください。


6. 申告と納税の流れ


1.   支払時に税額分を差し引いて留保する

2.   IRDから香港法人宛てに申告書(BIR54:非居住者に関する事業所得税申告書)が届く

3.   申告書に記入して提出する

4.   香港法人宛てに納税通知書が届き、留保していた税額から納付する


申告書が届かない場合でも、課税対象となる支払いがあれば、基準期間の末日から4か月以内にIRDへ書面で通知する義務があります(s.51(2))。初めてロイヤルティを支払った年は申告書が自動では届かないことがあるため、注意が必要です。

→ ロイヤルティの申告については「ロイヤルティの源泉税の税務申告」をご覧ください。


7. 日本側での取扱い


受け取った日本法人は、香港で課された税額について外国税額控除の適用を検討できます。



参考リンク

※2026年10月更新

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