香港のロイヤルティ源泉税の申告と納付|BIR54の流れ
香港法人が日本の親会社など香港外の会社にロイヤルティを支払うときは、税金を差し引いて送金します。では、差し引いた税金はいつ、どうやって納めるのでしょうか。申告から納付までの流れを整理します。

この記事のポイント
差し引いた税金は年1回、非居住者用の利得税申告書(BIR54)で申告し、税額通知を受けてから納付します
申告するのは支払側の香港法人です(受取側の名義で課税されます)
初めてロイヤルティを支払う年は、BIR54は自動では届きません。IRDへの連絡が必要です
差し引いてから納付するまでに1年以上空くことも珍しくありません
前提:誰の税金を、誰が納めるのか
香港外の会社に支払うロイヤルティは、香港税務条例(IRO)第15条(1)により、受取側が香港で得た事業収入とみなされ、受取側の利得税の対象になります。法人が受け取る場合の税率は、通常4.95%です。
受取側は香港にいないため、第20B条により、支払側の香港法人が受取側の名義で課税され、支払いまたは計上の時点で税額を差し引いておく義務を負います。
税率が16.5%になるケース、二段階税率、日本・香港租税条約との関係は「香港で源泉税が発生するケース|ロイヤルティの税率4.95%と16.5%」で解説しています。
申告から納付までの流れ
| 手続き | 担当 | 時期・ポイント |
1 | ロイヤルティから税額を差し引く | 香港法人 | 支払時または計上時。差し引いた金額は預り金として負債に計上 |
2 | IRDに通知(初年度のみ) | 税務代理人 | BIR54が届かない場合。下記「初めて支払う年の注意」参照 |
3 | BIR54が発行される | IRD | 毎年4月の第1営業日に一斉発行 |
4 | BIR54の提出 | 税務代理人 | 様式上の期限は発行日から2か月以内。税務代理人がいる場合、実務上は香港法人の利得税申告書(BIR51)と同じ延長後の期限で提出されている |
5 | 税額通知書(Notice of Assessment)の受領・納付 | 香港法人 | 確定税額に加え、翌年度の暫定税(Provisional Profits Tax)も支払う |
基準期間はどう決めるか
BIR54に記載するのは「基準期間(basis period)」に発生したロイヤルティです。IRDのFAQでは、基準期間は受取側(非居住者)の基準期間を指すとされています。
ただし、受取側の決算日を確認する手間をかけず、簡便的に3月31日を期末とすること、または支払側の香港法人の会計期間を継続して使うことも認められています。いずれの場合も、二段階税率や租税条約の軽減税率を適用するときは、受取側の基準期間を使う必要があります。前年と異なる基準期間を使う場合は、理由を別紙で説明します。
実務では、支払側の香港法人の会計期間を使うのが一般的です。
初めてロイヤルティを支払う年の注意
IRDは、香港法人がロイヤルティの支払いを始めたことを把握していないため、BIR54は送られてきません。
課税対象者は、申告書を受け取っていない場合、基準期間終了後4か月以内に書面でIRDに通知する義務があります(第51条(2))。届くのを待つのではなく、税務代理人を通じて、またはIRDに直接連絡して、BIR54の発行を依頼してください。
IRDの連絡先:IRD E-mail Addresses
納付のタイミングと暫定税
税額通知書には、その年度の確定税額に加えて、翌年度の暫定税が含まれます。暫定税は前年度の実績をもとに計算されます。ロイヤルティの支払いを続けている場合、実際には預かり済みの税額から納付する形になりますが、支払いから納付まで1年以上空くため、預り金の残高を管理しておく必要があります。
ロイヤルティが大きく減る見込みの場合は、暫定税の納付繰延(holdover)を申請できる場合があります。
日本の親会社側の処理
香港で課された税金は、日本の親会社の法人税申告で外国税額控除の対象になり得ます。香港側では、税額通知書と納付記録を親会社と共有しておくとスムーズです。
まとめ
ロイヤルティの税金は、差し引いた時点では終わりません。年1回のBIR54で申告し、税額通知を受けてから納付します。特に初年度はBIR54が自動で届かないため、IRDへの連絡を忘れないようにしてください。
参考資料
※2026年10月更新


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