米国と香港に租税条約はある?配当・利子・ロイヤルティの源泉税率
米国の会社が香港の会社に対して配当、利子、ロイヤルティを支払う時に源泉税を差し引く必要はあるのでしょうか。源泉税率は何%でしょうか。また、逆に香港の会社が支払う場合はどうでしょうか。

結論:米国と香港の間に租税条約はありません
米国と香港は包括的な租税条約(二重課税防止条約)を締結していません。そのため源泉税率は、米国・香港それぞれの国内法どおりとなります。
| 米国法人から香港法人に支払 | 香港法人から米国法人に支払 |
配当 | 30% | 0% |
利子 | 30% (米国債・社債の利子、預金利子などは0%) | 0% |
ロイヤルティ | 30% | 4.95% (一定の場合16.5%) |
※表は法人間の支払を前提としています。
1. 米国と香港の間にある協定
米国と香港の間で現在有効なのは、租税情報交換協定(TIEA)だけです。
協定 | 内容 | 現状 |
租税情報交換協定(TIEA) | 税務当局間で要請に基づき情報を交換する協定。二重課税の救済規定はない | 2014年3月25日署名、2014年6月20日発効 |
海運所得協定 | 国際海運所得を相互に免税とする協定(1989年締結) | 米国の終了通知により、2021年1月1日以後に開始する課税年度から終了 |
海運所得協定は、2020年7月の米国大統領令(香港正常化に関する大統領令)を受けて、米国が同年8月18日付で香港政府に終了を通知したものです。終了後は、米国・香港の双方で相手側の海運会社の所得に対する免税が行われなくなっています。
2. 米国法人が香港法人に支払う場合
租税条約がないため、米国法人が香港法人に支払う配当・利子・ロイヤルティには、米国国内法の30%の源泉税がかかります。
香港法人は、外国法人であることを示すために支払者へ Form W-8BEN-E を提出します。ただし、米国と香港には租税条約がないため、このフォームで源泉税率の軽減を申請することはできません。
利子には国内法上の免税があります
利子については、条約がなくても米国国内法で0%になるものがあります。香港法人が受け取る利子で実際に0%になるのは、主に次の3つです。
香港法人が保有する米国債・社債の利子(ポートフォリオ利子)
出資関係が10%未満(または出資関係なし)の米国法人への貸付金の利子(ポートフォリオ利子)
米国の銀行預金の利子
一方、香港法人が議決権の10%以上を持つ米国子会社に貸し付けた場合の利子は、ポートフォリオ利子に該当しないため、原則どおり30%の源泉税がかかります。
3. 香港法人が米国法人に支払う場合
香港の税法では、配当と利子の支払に源泉税はありません。源泉税がかかるのはロイヤルティだけです。
| 香港国内法 | 根拠 |
配当 | 0% | 香港には配当の源泉税がない |
利子 | 0% | 香港には利子の源泉税がない |
ロイヤルティ | 4.95% | 支払額の30%を課税所得とみなし、16.5%を乗じる(税務条例 s.21A) |
ロイヤルティ(関連者・一定の場合) | 16.5% | 支払額の100%を課税所得とみなす |
ロイヤルティの源泉税率が16.5%になるのは、受取人が支払者の関連者(associate)であり、かつ対象の無形資産が過去に香港で事業を営む者に所有されていたことがある場合です。支払者である香港法人には、源泉徴収と税務局への申告・納付の義務があります。
4. 香港法人が受け取った米国源泉所得の香港での扱い
香港法人が米国子会社から受け取る配当や利子は、外国源泉所得です。香港は原則として外国源泉所得に課税しませんが、外国源泉所得免税制度(FSIE)により、多国籍企業グループの構成事業体は、経済的実質要件などの例外要件を満たさないと香港で課税されます。
この場合、米国で差し引かれた30%の源泉税は、租税条約がなくても香港の税額から控除できる一方的税額控除の対象になります。
5. 日本から米国に直接投資する場合との比較
米国からの配当・利子・ロイヤルティは、日米租税条約により、日本法人が直接受け取るほうが源泉税率は低くなります(配当0〜10%、利子・ロイヤルティ原則0%)。香港法人を経由すると30%です(米国債・社債の利子などは0%)。
まとめ
米国と香港の間に包括的な租税条約はなく、有効なのは租税情報交換協定(TIEA)のみ。海運所得協定は2021年に終了
米国 → 香港の配当・利子・ロイヤルティは原則30%。利子は米国債・社債の利子や預金利子などは0%だが、10%以上出資する米国子会社への貸付金の利子は30%
香港 → 米国は配当・利子に源泉税なし。ロイヤルティは4.95%(一定の場合16.5%)
米国からの投資所得は、香港経由より日本から直接受け取るほうが源泉税は低い
他の租税条約をチェック
※2026年10月更新

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