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香港リミテッド・パートナーシップ・ファンド(LPF)とは|登録要件・税制・2026年改正案

10月4日
読了時間: 4分

香港では2020年8月から、リミテッド・パートナーシップ形態の私募ファンドを香港で登録できるようになりました(LPF制度)。登録要件、税務上の扱い、2026年の改正案を整理します。



LPF制度の概要

リミテッド・パートナーシップ・ファンド条例(Cap.637)は2020年8月31日に施行されました。PEファンドやVCファンドなどの私募ファンドを香港に呼び込むための制度で、会社登記局(Companies Registry)が登録を管轄しています。

LPFは、無限責任を負うジェネラル・パートナー(GP)1名と、出資額を限度に責任を負うリミテッド・パートナー(LP)1名以上で構成されます。LPF自体に法人格はありません。


どのくらい使われているか

会社登記局の公表統計によると、LPFの登録数は2021年末に409件、2022年末に566件、2025年末に1,347件となっています。2025年の1年間では389件が新たに登録されました。

一方、ケイマン諸島では、2026年6月末時点でオープンエンド型・クローズドエンド型を合わせて31,145件のファンドが金融庁(CIMA)に登録されています。香港LPFは増加を続けているものの、件数ではケイマンの5%に満たない水準です。


登録要件

項目

要件

基本

リミテッド・パートナーシップ契約(LPA)で組成されていること

GP

1名。18歳以上の個人、香港法人、登録非香港会社、LPF、香港外のLP(法人格の有無を問わない)など

LP

1名以上

投資マネージャー

日常の運用を担う者を1名以上選任。香港居住者の個人、香港法人、または登録非香港会社。GPが兼任することも可能

責任者(AML)

マネロン対策(AMLO Cap.615 Schedule 2)を実施する者。銀行、香港証券先物委員会(SFC)のライセンス法人、会計専門家、法律専門家のいずれか

監査人

選任が必要。財務諸表は監査を受ける

登録事務所

香港内に置くこと(私書箱やc/o住所は不可)

名称

英語名は「Limited Partnership Fund」または「LPF」、中国語名は「有限合夥基金」で終わること

パートナー構成

全パートナーが同一企業グループ内の法人だけ、という構成は原則不可

 

申請は香港の法律事務所(または香港の弁護士)を通じて行います。登録費用はHK$2,555に、返金されない受付手数料HK$479が加わります。これとは別に商業登記料がかかります。問題がなければ、登録証明書は通常4営業日ほどで発行されます。


登録後は、毎年、登録証明書の発行日の応当日から42日以内に年次報告書(LPF5)を提出します。手数料はHK$105です。ケイマン諸島の私募ファンドの場合、金融庁(CIMA)への年間手数料だけでUS$5,030(2026年から)かかるため、政府に支払う手数料は香港の方が大幅に低く抑えられています。


海外ファンドの香港への移転(リドミサイル)

2021年11月1日から、ケイマンなど香港外で組成されたリミテッド・パートナーシップ形態のファンドを、LPFとして香港に移すことができるようになりました。移転しても元のパートナーシップは解散せず、同一性を保ったままLPFとして存続します。


税務:要件を満たせば運用益は非課税

香港のファンド向け免税は、統一ファンド免税制度(Unified Fund Exemption、IRO s.20AN〜、Schedule 16C)で定められています。


香港でファンドの資産を上場株式などで運用するには、SFCのライセンス(Type 9:資産運用)が必要です。ライセンスを持つ運用会社を通じた株式・債券・デリバティブなどの取引は免税要件を満たすため、通常、ファンドの運用益は利得税が免除されます。


例外は、運用者がSFCのライセンスを持たないケースです。たとえば次のようなファンドがこれにあたります。

  • 香港の非公開会社の株式のみに投資するファンド(SFC上の「証券」にあたらないため、運用にライセンスが不要)

  • 運用者が香港外にいるファンド(SFCではなく所在国の規制に従うため、SFCのライセンスを持たない場合)


これらのファンドは、別途「適格投資ファンド」の要件(投資家の数や分散などの条件)を満たすことで免税を受けます。

運用者側については、適格なキャリード・インタレスト(運用者がファンドの利益から受け取る成功報酬)に対して、利得税0%と給与所得税の非課税という優遇があります(2020年4月1日以降の受領分が対象)。


2026年改正案(2026年10月時点で審議中)

2026年6月12日、ファンド・ファミリーオフィス・キャリード・インタレストの優遇税制を拡充する改正法案が官報に掲載されました。主な内容は次のとおりです。

  • 「ファンド」の定義を拡大(年金基金、寄付基金など)

  • 適格投資の範囲を拡大(ローン、デジタル資産など)

  • 付随取引に関する5%基準の撤廃

  • キャリード・インタレスト優遇について、HKMA認証とハードルレート要件を撤廃

  • ファンド免税に申告制度と経済実体要件を新たに導入


2026年6月24日に立法会で第一読会が行われましたが、2026年10月時点で法案は成立していません。成立した場合は、2025年4月1日に始まる2025/26課税年度に遡って適用されます。税務局は経過措置として、改正案の要件を満たす納税者が2025/26年度の申告をその前提で行うことを認めています。


日本の投資家が確認すべき点

LPFは条例上、法人格を持たないと明記されています(Cap.637 s.15(b))。このため、日本の税務上も外国法人ではなく、組合(パススルー)として扱われるのが原則です。

 
 
 

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