top of page

香港におけるグローバルミニマム課税(概要)

 2025年1月1日以降に始まる会計年度において、年間連結収益が7億5,000万ユーロ (1,250億円) 以上の多国籍企業(MNE)グループに対して、15%のグローバルミニマム税が課せられます。 


背景

 一部の多国籍企業グループは法人税率の低い国にある子会社等を利用して、グループ全体の税金を引き下げようとします。また、国も税率を引き下げて外国企業の自国への進出を後押しします。これでは結果的に各国の法人税収入を減少させてしまいます。

 グローバルミニマム課税 (Pillar 2) はOECDによって作成されました。OECD参加国はグローバルミニマム課税の採用は義務ではありませんが、グローバルミニマム課税を自国で採用する場合はOECDの作成したルールに整合するものを求められています。

 香港、日本ともにグローバルミニマム課税は採用されており香港の日系企業は理解しておく必要があります。

 グローバルミニマム課税は実効税率最低15%を企業に課税します。実効税率10%の会社であれば追加で5%が課税されます。


グローバルミニマム課税の対象となる企業

全ての多国籍企業グループが対象ではなく、大規模な多国籍グループが対象となっています。具体的な基準は以下になります。


「現在の会計年度の直前の4会計年度のうち少なくとも2会計年度の年間連結収益が7億5,000万ユーロ(約1,250億円) 以上の多国籍企業(MNE)グループ」


課税の方法

以下の方法を通じてグローバルミニマム税が課せられます。


  1. IIR 所得合算ルール - 対象となる多国籍企業グループの子会社等がある国・地域において実効税率が15%未満である場合に、その不足分を親会社がある国で親会社に課税する仕組みです。

    つまり、子会社で税金が安いところがあればその不足分を親会社に課税するというものです。

  2. UTPR 軽課税所得ルール – 上記のIIRでは子会社の課税不足分を親会社のある国で親会社に課税しますが、親会社のある国にIIRのルールがない国の場合、親会社に課税できません。UTPRはそのような場合に多国籍企業グループの企業のある別の国で不足分を課税するというものです。親会社をIIRルールのないところに移して課税を逃れるのを防ぐためです。

  3. QDMTT 適格国内トップアップ課税 - 香港の税法ではHKMTT 香港ミニマム・トップアップ課税と言います。多国籍企業グループに属する会社がその所在地国で実効税率が15%をした回る場合に、不足分をその所在地国で課税します。HKMTTはIIRおよびUTPRに優先して適用されます。

     対象となる多国籍企業グループの香港子会社の実効税率が15%を下回る場合、不足分は香港で課税されます。



香港での税務申告と納税の流れ


  1. トップアップ税通知書 (Top-up tax notification)

    会計年度終了後 6 か月以内に提出

    トップアップ税通知書は、多国籍企業グループがグローバルミニマム税およびHKMTTの適用範囲に入ったことをIRDに通知するために提出

  2. トップアップ税申告書 (Top-up tax return)

    会計年度終了後15ヶ月以内に提出

    移行年度は18ヶ月に延長

  3. 納税

    納付書発行日から1ヶ月以内に納付

    申告書の情報に基づいて税額が決定し納税書が発行されます。翌年分の見積税額は課税されません。


利得税申告の電子申告(e-filing)の義務化

 IRDは、法人および非法人事業(個人事業を除く)に対する利得税申告の電子申告の完全導入を段階的に進めています。 この電子申告義務化の第一段階として対象となる多国籍企業グループの法人は、2025年4月1日以降に開始する評価年度(すなわち2025/26年以降の評価年度)の利得税申告書を電子申告することが義務付けられています。 



 上記はIRDのWeb-siteの内容を参考にしたものです。より詳しい情報はIRDのWeb-siteで確認できます。

Comments


bottom of page