香港におけるグローバルミニマム課税(概要と最新実務対応)
- 7月5日
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更新日:2026年7月
2025年1月1日以降に始まる会計年度において、年間連結収益が7億5,000万ユーロ(約1,200から1,400億円)以上の多国籍企業(MNE)グループに対して、15%のグローバルミニマム税が課せられます。香港でも本制度を導入する改正条例が正式に法制化され、実務運用のフェーズに入っています。本記事では、その背景、対象基準、課税メカニズム、および香港における最新の税務申告スケジュールについて解説します。

背景と制度の目的
一部の多国籍企業グループは、法人税率の低い国・地域にある子会社等を利用して、グループ全体の税負担を引き下げようとします。また、各国も外資誘致のために税率引き下げ競争を行い、結果として世界の法人税収入が減少する事態が生じていました。
これを防ぐため、OECD(経済協力開発機構)が中心となり「グローバルミニマム課税(Pillar 2)」が策定されました。参加国への導入義務はありませんが、採用する場合はOECDルールと整合している必要があります。香港および日本ともに本制度を採用しており、香港に進出している日系企業は現地での実務対応を理解しておく必要があります。
グローバルミニマム課税の対象となる企業
全ての多国籍企業グループが対象ではなく、大規模な多国籍グループが対象となっています。具体的な基準は以下になります。
「現在の会計年度の直前の4会計年度のうち、少なくとも2会計年度の年間連結収益が7億5,000万ユーロ以上の多国籍企業(MNE)グループ」
3つの課税メカニズムと香港における適用状況
グローバルミニマム課税は、実効税率が最低15%に満たない場合に、その不足分を「トップアップ税」として課税する仕組みです(例:実効税率が10%の会社がある場合、追加で5%が課税されます)。課税の方法には以下の3つのルールがあります。
ルール名称 | 仕組みの概要 | 香港における適用ステータス
|
IIR (所得合算ルール) | 軽課税国にある子会社の税金不足分を、親会社がある国(日本など)で親会社に課税する仕組み。 | 2025年1月1日以降開始する会計年度から適用開始 |
HKMTT / QDMTT (適格国内トップアップ課税) | 自国内(香港)のグループ会社の実効税率が15%を下回る場合、不足分をその所在地国(香港)で優先的に課税する仕組み。HKMTTは香港版のQDMTTです。 実効税率が15%未満でも課税されないケースはリンク先を参照 | 2025年1月1日以降開始する会計年度から適用開始(IIR等に優先して適用) |
UTPR (軽課税所得ルール) | 親会社の所在地国にIIRがない場合等に、グループ内の他の子会社がある国で不足分を課税する補完的仕組み。 | 現時点では導入延期中 (今後の政府官報により指定予定) |
香港での税務申告と納税の流れ
香港税務局(IRD)は、本制度の実務対応として2026年1月19日に「Pillar Two電子ポータル(Pillar Two Electronic Portal)」の第1フェーズ(Top-up tax notification)を開設し、各種通知の受付を開始しています。なお、トップアップ税申告書(Top-up tax return)の提出機能は第2フェーズ(2026年第4四半期に稼働予定)で対応される予定です。香港内に複数のグループ会社(構成事業体)が存在する場合、代表して1社を「指定地方事業体(Designated Local Entity)」に任命することで、グループ全体の申告を一括して行うことが可能です。
なお、以下の各期限の基準となる「会計年度」は、香港子会社の現地決算期ではなく、グループ(最終親会社)の会計年度です。日系企業の場合、通常は日本本社の決算期が基準となります。
トップアップ税通知書 (Top-up tax notification) の提出対象企業がグローバルミニマム税およびHKMTTの適用範囲に該当した旨を、(最終親会社の)会計年度終了後 6か月以内 に電子ポータルを通じてIRDに通知する必要があります。(例:2026年3月末決算の場合、2026年9月30日までに提出)
トップアップ税申告書 (Top-up tax return) の提出原則として(最終親会社の)会計年度終了後 15か月以内 に提出します。ただし、制度導入の最初の年度(移行年度)については、特例として 18か月以内 への延長が認められています。(例:2026年3月末決算の場合、移行特例により2027年9月30日までに提出)
納税提出された申告書に基づいて税額が決定され、IRDより納付書が発行されます。納付書発行日から 1か月以内 に納税を行う必要があります。なお、通常の利得税とは異なり、翌年分の見積税額(Provisional Tax)の課税はありません。
利得税申告の電子申告(e-filing)義務化への影響
IRDは、法人等に対する利得税(法人所得税)申告の電子申告化を段階的に進めています。この義務化の第一段階として、グローバルミニマム課税の対象となる多国籍企業グループに属する香港法人は、2025年4月1日以降に開始する評価年度(2025/26年度以降)の利得税申告書について、電子申告を行うことが義務付けられています。通常の利得税申告スケジュールや提出方法にも影響するため、事前の準備が必要です。
実務上の留意点
香港のグローバルミニマム課税は正式に法制化され、実務上のオンラインポータル(2026年1月稼働)を通じた対応が必要となっています。特に対象となる日系企業の香港子会社においては、親会社(日本側)でのIIR対応との二重課税調整や、HKMTT(香港ミニマム・トップアップ課税)の計算など、専門的なシミュレーションとタイムリーな申告準備が求められます。詳細や具体的なアドバイスについては、最新のIRDガイドラインを参照するか、専門家へご相談ください。
上記はIRDのWeb-siteの内容を参考にしたものです。より詳しい情報はIRDのWeb-siteで確認できます。

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