香港BTP(Business Tax Portal)ビジネスアカウントの開設手順
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香港では、2025年7月にIRD(香港税務局)が電子税務システムを刷新し、BTP(Business Tax Portal/商業税務ポータル) が導入されました。香港の税務申告は現在も紙ベースが一般的ですが、IRDは利得税申告の電子申告(e-filing)を段階的に義務化しており、その第一段階として、グローバルミニマム課税(Pillar Two)の対象グループに属する香港法人には、2025/26課税年度以降、e-filingが義務付けられています。 これらの法人は、Pillar Twoの通知・申告に加え、利得税申告もBTP経由で行うことになります。

なぜBTPビジネスアカウントが必要か
BTPは、Pillar Two専用のシステムではなく、香港の会社が税務・事業登録関係をオンラインで扱うための共通プラットフォーム です。具体的には、利得税申告(Profits Tax Return)の電子申告、雇用主報告(Employer's Return)の提出、税務査定(assessment)の閲覧、事業登録(Business Registration/商業登記)関係の手続き、印紙税、居住者証明書(CoR)の申請など、幅広い手続きに使います。
3種類のアカウントと3つの役割
BTPの手続きでは、名前が似た複数のアカウントが出てきます。
3種類のアカウント
ITPアカウント(Individual Tax Portal):個人税務ポータルの口座。BTPユーザーアカウントを作るのに必要です。
BTP User Account(BTPユーザーアカウント):BTPビジネスアカウントを操作する「個人」のログイン口座。個人ごとに1つ。
BTP Business Account(BTPビジネスアカウント):「会社」そのものに紐づく口座。BRN(事業登録番号)ごとに1つ だけ開設できます。
1つのビジネスアカウント(会社)に、複数のユーザーアカウント(個人アカウント)が紐づいて操作します
3つの役割
Responsible Person(RP/責任者):ビジネスアカウントを開設できる唯一の立場。会社の 取締役(Director)または会社秘書役(Company Secretary) に限られます。
BTP Administrator(管理者):RPが任命する、口座の管理者。Authorized Userやサービスエージェント(代理人)の任命など、口座全体を管理します。1社あたり最大5名。
BTP Authorized User(権限利用者):Administratorが任命する、実務を操作する担当者。人数無制限。
AdministratorやAuthorized Userは、会社のスタッフでも構いません(RPが任命すればよい)。取締役でなければならないのは、Responsible Person(RP/責任者)だけ です。
開設の手順(取締役1名で完結させる最小構成)
ここでは、取締役1名がRPとして開設まで行う場合の流れを示します。
Step 1:ITPアカウントを開設する
操作する個人が、まず自分のITPアカウントを用意します。ITPのログインページから新規登録(New Registration)を選び、案内に沿って登録します。本人確認のため アクセスコード が必要で、これは郵送(IRD登録の通信先住所へ、2営業日で発送)またはSMSで届きます。iAM Smart または 個人用デジタル証明書 を持っている場合は、アクセスコード不要で直接ログインできます。
Step 2:BTP User Accountを登録する
ITPアカウントでログインできる状態になったら、BTP User Accountを登録します。注意点として、BTP User AccountのユーザーネームとパスワードはITPアカウントとは別のものを設定 する必要があります(同じにはできません)。また、選んだBTPユーザーネームは後から変更できないため、慎重に決めます。1人につき登録できるユーザーアカウントは1つです。
あわせて、プロフィール設定で、自分が操作する香港法人のBRN(事業登録番号)を「Serving Business List」に追加 します。この登録がないと、会社側から自分をAdministratorやAuthorized Userに任命できません。
Step 3:BTP Business Accountを開設する(RPの作業)
RPが、会社のBTPビジネスアカウントを開設します。ポータルで「Register Portal Account」→「BTP Business Account」を選び、認証方法を1つ選んで進めます。登録の際、IRDは RPの身元を会社登記所(Companies Registry)の記録と照合 します。
Step 4:BTP Administratorを任命する
開設と同時に、RPは自分自身または他者をBTP Administratorに任命します。最小人数での構成なら、取締役が自分をAdministratorに任命すれば問題ありません。会社のスタッフや外部の代理人をAdministrator/Authorized Userに追加 しておくと、以降の操作を取締役に頼らずに済みます。
これでBTPビジネスアカウントが使えるようになり、Pillar Two Portal(BTP内の機能)を含む各種オンラインサービスにアクセスできるようになります。
開設後の実務を代理人に任せる場合
開設が済んだ後の実務は、税務代理人や会社秘書役などの代理人(サービスエージェント) に任せることができます。
会社側のBTP Administratorが「Manage Service Agent」機能から代理人を任命し、任せる範囲を指定します。主な区分は次のとおりで、区分ごとに任せられる範囲が決まっています。
税務代理人(Tax Representative):利得税に関する当局対応全般。申告書の作成、照会対応、査定の閲覧、居住者証明書、Pillar Two関係など。ただし、申告書に署名して提出することはできません。
サービスプロバイダー(Service Provider):取締役に代わって申告書に署名し、提出する権限。利得税申告書とトップアップ税の通知・申告書が対象です。
会社秘書役(Company Secretary):事業登録関係、居住者証明書
実務では、同じ事務所が税務代理人とサービスプロバイダーの両方に任命されるのが通常です。税務代理人の任命だけでは提出まで完了しないため、提出まで任せる場合は両方の任命に加えて、IR1476(Confirmation for Engagement of Service Provider to Furnish Return)にクライアントの署名を得て保管します。
ただし、代理人を任命するには、会社自身のBTPビジネスアカウントが開設済みであることが前提 です。開設そのもの(RPの作業)は代理人に任せられません。
まとめ
香港でBTPビジネスアカウントを開設する際の要点は次のとおりです。
香港では今も紙の申告が一般的だが、Pillar Two対象グループの香港法人は2025/26年度以降e-filingが義務。Pillar Twoの通知・申告と利得税申告の両方でBTPが必要になる。
アカウントは ITP → BTP User Account → BTP Business Account の順で用意する。
RPは取締役または会社秘書役に限られる が、その後の管理・操作はスタッフや代理人に委ねられる。
BRNごとに1口座 なので、香港に複数社あれば各社ごとに開設が必要。
具体的な画面操作は、IRDが公開している「New Tax Portals Learning Resources」のe-Demo・ユーザーガイドで確認できます。
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