中国法人の株主情報を確認する方法
- 6月10日
- 読了時間: 4分
2026年6月
監査の過程で子会社の株主情報(社内の記録ではなく登記等の公式なもの)の提出を求められることがあります 。ここでは中国法人の株主情報を確認するための方法を解説します 。

1. 営業執照(营业执照)には株主情報は載っていない
中国法人の存在証明として最もよく知られているのが营业执照(営業執照)です 。統一社会信用代碼(18桁の法人識別番号)、会社名、法定代表人、登録資本金、事業範囲などが記載されており、日常業務でも頻繁に使用されます 。
しかし、营业执照には株主名や持株比率は記載されていません 。香港のAnnual Return(NAR1)が株主情報を含む包括的な書類であるのとは異なり、中国の営業執照はあくまで法人の基本情報のみが記載されています 。
2. 国家企業信用情報公示システム(gsxt.gov.cn)で最新情報を照会する
株主情報の確認に最も手軽に使えるのが、国家企業信用情報公示系統(国家企业信用信息公示系统)です 。
項目 | 内容 |
URL | |
運営 | 国家市場監督管理総局(SAMR) |
費用 | 無料 |
検索方法
トップページの検索ボックスに会社名または統一社会信用代碼を入力
CAPTCHAを完了する
検索結果から対象法人を選択
「股东信息」または「投资人信息」の項目を確認する
※ 統一社会信用代碼は营业执照の左上に記載されている18桁の番号です 。会社名での検索より確実です 。
外資企業の注意点
内資企業(中国国内の株主のみで構成される法人)は株主情報が比較的開示されていますが、台港澳・外資系合弁企業(中外合資・台港澳与境内合資)については、株主情報の公開が限定的な場合があります 。照会結果に株主情報が表示されない、または不完全な場合は、後述の書類による補完が必要です 。
※なお、現在は中国国外からのアクセス制限や認証システムの厳格化が進んでいるため、日本国内からアクセスする際はVPNが必要になる場合があります。
エビデンスとしての使い方
照会日付を明示した照会結果のスクリーンショットを保存
3. 批准証書(批准证书)で過去の株主構成を確認する(※2019年以前の設立企業のみ)
台港澳・外資系企業の場合、2019年以前に設立された企業であれば、MOFCOM(商務部)または地方商務局から批准证书(Certificate of Approval)が発行されていました 。この書類には投資者名称・登録地・出資額が明記されており、設立時の株主構成を確認する一次資料となります 。
ただし、批准证书は設立時に発行されるものであり、その後の増資・株主変更は反映されません 。あくまで設立時点(または当時の変更時点)の情報として参照し、現在の株主構成との照合が必要です 。
⚠️ 法改正による注意点 2020年1月1日の「外商投資法」施行に伴い、批准証書制度は完全に廃止され、「外商投資情報報告制度」へ移行しました。そのため、2020年以降に新設された外資企業は批准証書を保有していません。 それ以前に設立された企業であっても、その後の変更登記時に当局に回収されているケースがあるため、保有していない場合は後述の「股东名册」や「工商登記档案」での確認に切り替えます 。
4. 工商登記档案(工商档案)
gsxt.gov.cn(ウェブサイト)で株主情報が非開示になっている場合や、「公印のある最も厳格な公式証明書」を求められた場合「工商登記档案(こうしょうとうきとうあん)」を取得しましょう。
これは、現地の市場監督管理局(旧工商局)に保管されている法人の公式な登記ファイル(内調書類)の原本控えであり、株主の変遷や出資比率、定款などがすべて含まれています。
入手方法: 会社の法定代表人または授権された担当者が、電子営業執照で本人認証(実名・顔認証等)を行ったうえで、各地の政務サービスプラットフォーム経由でオンライン取得できます(対応状況は省・市により異なります)。または現地スタッフが会社の公印(公章)や身分証明書を持って管轄の市場監督管理局の窓口に出向いて取得します。いずれも会社側での認証・手続きが必要となるため、第三者が単独で取得することはできず、相応の手間が発生します。
特徴: 当局の公印(割印)が入るため、最も信頼性の高い公的エビデンスとなります。
5. まとめ
方法・必要書類 | 入手先 | 備考 | |
1 | 営業執照(营业执照) | 会社が保管 | 株主名や持株比率は記載されていない |
2 | gsxt.gov.cnで照会 | 当局公示システム(無料) | 外資企業は情報が限定的な場合あり 。海外アクセス制限に注意。 |
3 | 批准证书 | 会社が保管 | 2019年以前に設立された企業のみ。設立〜過去の変更時点の株主情報 。 |
4 | 工商登記档案(工商档案) | 管轄の市場監督管理局 | 最も確実な公的エビデンス。 |
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別案件の法的・会計的アドバイスを構成するものではありません 。具体的なご相談はDonnect Limitedまでお問い合わせください 。



コメント