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【香港法人】取締役の変更手続と必要書類(ND2AとND4の違い)

  • 1 日前
  • 読了時間: 4分

香港で法人を運営していると、ビジネスの拡大や体制変更に伴い取締役(Director)を変更する機会が出てきます。その際、香港の会社登記局(公司註冊處)に提出する代表的な法定書類が「ND2A」と「ND4」です。



「ただ登記書類を出せばいい」というわけではありません。事前に適切な社内決議(議事録等)を行い、エビデンスを残す必要があります。役員変更に必要な書類、ND2AとND4の違い、そして具体的な手続きの流れを解説します。


1. 役員変更に必要な書類チェックリスト

香港で取締役や会社秘書役を変更する場合、公的な登記書類だけでなく、以下の社内書類を揃える必要があります。


① 就任する取締役のIDと住所証明

取締役が就任する場合、その取締役のID(パスポート等)と住所証明が必要です。


② 取締役会書面決議書 (Written Resolution of the Directors) または 議事録 (Minutes)

  • 取締役会が「新取締役の就任」や「旧取締役の辞任・解任」を正式に承認したことを記録する書類です。

  • 実際にメンバーが1ヶ所に集まって会議を開かない場合でも、全取締役が署名する「書面決議書」の形でも問題ありません。


③ 辞任届 (Letter of Resignation) ※辞任の場合

  • 退任する取締役が、自らの意思で辞任することを会社に宛てて証明する書類です。

  • 「会社に対する未払いの報酬や請求権(債権債務)はない」という相互免責の文言を含めることで、後々の法的トラブルを防ぎます。


④ 就任承諾書 (Consent to Act as Director) ※新任の場合

  • 新しく取締役に就任する人が、「私は取締役としての責任と義務を理解し、就任を承諾します」という意思を表示する署名書類です。

  • 法定書類「ND2A」の内部にこの承諾欄(署名欄)が含まれているため、実務上はND2Aへの署名をもって兼ねることが多いです。


2. 提出する法定書類:ND2AとND4の違い

社内手続きを終えた後、会社登記局に提出する公的書類が「ND2A」と「ND4」です。この2つには、以下のような役割の違いがあります。


ND2A(更改公司秘書及董事通知書 — 委任/停任)

  • 提出者: 会社(Company)

  • 会社側が主導して行う、役員の「新任(委任)」、会社都合による「退任・解任(停任)」、または住所やパスポート番号などの「登録情報の変更」を届け出るための総合的な通知書です。


ND4(公司秘書及董事辞任通知書)

  • 提出者: 辞任する役員本人(または本人から通知を受けた会社)

  • 役員が「自らの意思で辞任(Resignation)」したことを届け出るための通知書です。


項目

ND2A

ND4

主な目的

委任(就任)/退任・解任

本人の意思による「辞任」

手続きの主体

会社(Company)

辞任する本人(または会社)

新メンバーの追加

可能

不可(辞任のみ)


3. 具体的な手続きの4ステップ

実際の変更実務は以下の流れで進行します。香港会社法において、「変更があった日から15日以内」に登記を完了させなければならないため、迅速な対応が必要です。


Step 1: 辞任届(Letter of Resignation)の取り付け

退任する取締役から会社宛ての辞任届(署名、辞任の有効日が明記されたもの)を受領します。


Step 2: 社内決議(決議書・議事録の作成)

「取締役会書面決議書(Written Resolution)」を作成し、取締役全員の署名を集めて役員変更を正式に承認します。


※取締役の解任(removal)は、原則として株主総会の普通決議事項です(会社条例 Cap.622 第462条)。会社の定款(Articles of Association)の規定によっては、就任・辞任のケースでも株主総会決議(Shareholders' Resolution)が必要となる場合があります。


Step 3: 法定書類(ND2A / ND4)の作成と署名

承認後、提出用のND2A(および必要に応じてND4)を作成し、署名を行います。

  • ND2Aの場合: 現職の取締役または会社秘書役が会社を代表して署名します。

  • ND4の場合: 辞任する役員本人が署名します。


Step 4: 会社登記局への提出・登記申請

すべての署名が揃ったら、オンラインシステム(e-Registry)または書面にて会社レジストリへ提出します。不備がなければ数日で登記情報がアップデートされます。


上記はあるべき手続の順序ですが実務上は、会社秘書役が全ての書類を準備 → 書類にサイン → 会社秘書役が会社登記局に提出 というイメージです。


4. 実務における使い分けの注意点

通常のスムーズな交代(ND2Aのみ、または両方)

新取締役の就任と旧取締役の退任を同時に行う場合、実務上はND2A(委任/停任)の1枚だけで一括手続きが可能です。ただし、本人の明確な辞任の意思を公的記録に残すため、旧取締役がサインしたND4を合わせて提出するケースも非常に多いです。


社内でトラブル・意見対立がある場合(ND4)

もし社内で紛争があり、会社側が嫌がらせなどで取締役の変更手続き(ND2Aの提出)を意図的に拒んだ場合、辞任したい取締役は法的な責任が残り続け、大きなリスクを負います。

この場合、辞任する取締役は自らND4を作成し、直接会社登記局に提出することができます。これにより、会社側の対応に関わらず、自身が役職を退いたことを公的に成立させられます。


5. 留意事項

取締役が交代となった場合、銀行に登録してある取締役情報も更新する必要があります。

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