香港・マカオ租税協定(配当等の源泉税率)
マカオの会社が香港の会社に対して配当、利子、ロイヤルティを支払う時に源泉税を差し引く必要はあるのでしょうか。源泉税率は何%でしょうか。また、逆に香港の会社が支払う場合はどうでしょうか。

香港とマカオの間には包括的租税協定(2019年署名、香港では2021/22課税年度から、マカオでは2021年1月1日から適用)があります。支払時の源泉税率は、国内法の税率と租税協定の税率のうち低い方になります。
結論:実際に適用される源泉税率
支払の種類 | マカオ法人から香港法人に支払 | 香港法人からマカオ法人に支払 |
配当 | 0% | 0% |
利子 | 0% | 0% |
ロイヤルティ | 0%(注1) | 3%(注2) |
(注1)マカオには、配当・利子・ロイヤルティに対する源泉徴収の制度がありません。
(注2)香港国内法の税率が3%を下回る場合は国内法の税率になります。
1. 国内法の源泉税率
支払の種類 | マカオ国内法 | 香港国内法 |
配当 | なし | なし |
利子 | なし | なし |
ロイヤルティ | なし | 4.95%(一定の場合16.5%) |
香港で源泉税がかかるのはロイヤルティだけです。非居住者が受け取るロイヤルティは、その30%が課税所得とみなされるため、法人なら16.5%×30%=4.95%になります。
ただし、受取人が支払者の関連者で、かつ対象の無形資産が過去に香港で事業を行う者に所有されていたことがある場合は、100%が課税所得とみなされ16.5%になります。
2. 協定上の限度税率
支払の種類 | 協定の取扱い |
配当(第10条) | 5%が上限 |
利子(第11条) | 5%が上限(香港・マカオ政府等への支払いは免税) |
ロイヤルティ(第12条) | 3%が上限 |
3. マカオ法人が香港法人に支払う場合
マカオ国内法では配当・利子・ロイヤルティのいずれにも源泉税がありません。協定の上限税率より有利なので、すべて0%です。協定を使う必要はありません。
4. 香港法人がマカオ法人に支払う場合
香港国内法では、配当と利子に源泉税はありません。
ロイヤルティは通常4.95%ですが、協定を適用すると3%になります。16.5%になるケース(関連者間で、香港で所有されていた無形資産に係るもの)でも、協定の上限3%が適用されます。
香港の支払者は、非居住者への支払いとしてBIR54を提出し、源泉税を納付します。
5. 租税協定を使う際の注意点
主要目的テスト:協定の恩恵を得ることが取引の主な目的の一つだと税務当局が判断した場合には、協定による軽減が認められません。
居住者証明:マカオ法人が協定税率3%を使うには、マカオの税務居住者で、かつロイヤルティの受益者であることが条件です。マカオ財政局発行の居住者証明の提出を求められる場合があります。香港法人がマカオで協定を使う場合は、香港の居住者証明書が必要になることがあります。→ 香港の居住者証明書(CoR)の取得
香港側の課税:マカオから受け取る配当・利子・ロイヤルティは、香港のFSIE(外国源泉所得免税制度)の対象になり得ます。→ 国外源泉所得の免税制度
マカオ側の課税:マカオは2026年1月1日から属地主義課税に移行したため、マカオ法人が香港から受け取る配当・利子・ロイヤルティは原則として課税されません。ただし、多国籍企業グループの構成事業体は引き続き課税対象で、香港で納めた税金はマカオの税額から控除できます。→ マカオで会社設立
協定原文
※2021年12月のブログ記事の内容を更新



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