香港法人の株式譲渡(株主変更)の手続
- 6月7日
- 読了時間: 5分
更新日:6月24日
2026年6月
香港でビジネスを行っていると、パートナーの交代やグループ内の組織再編などで「株主の変更」という場面が出てくることがあります。
香港法人の株式譲渡(Share Transfer)の手続きをスムーズに進めるために知っておくべき全体的な流れ、必要な日数等を解説します。

株式譲渡の全体的な流れ
香港法人の株式譲渡は、大きく分けて以下の4つのステップで進みます。通常、会社秘書役に依頼しますので会社秘書役が議事録や必要書類の準備、印紙税の支払い等をやってくれます。
① 取締役会による承認(Board Approval)
まずは会社の取締役会で、株主の変更(株式の譲渡)を承認する決議を行います。香港法人の「会社の定款(Articles of Association)」に譲渡制限などの特記事項がないか、事前に確認しておくことが大切です。
② 必要書類の作成と署名
譲渡人(売り手)と譲受人(買い手)の間で契約を交わし、香港の規定に沿った公式な譲渡書類を作成して、双方で署名(サイン)を行います。
③ 印紙税(Stamp Duty)の申告・支払い
香港法人の株式譲渡において最も重要なステップです。香港税務局(IRD)の印紙税局(Stamp Office)に書類を提出し、印紙税を支払って捺印(Stamping)を受けます。これを行わないと譲渡の法的効力が認められません。
④ 会社名簿の更新と新株券の発行
会社秘書役が「株主名簿(Register of Members)」を書き換え、新しい株主に「株券(Share Certificate)」を発行することで、正式に手続きが完了します。
💡 補足: 次回の年次報告書(Annual Return)提出時に、新しい株主情報を会社登記局(Companies Registry)へ報告します。
手続きに必要な主な書類
手続きにあたっては、主に以下の書類を用意する必要があります。
Instrument of Transfer(譲渡証書): 株式の所有権を移転するための法的な書類。
Bought Note / Sold Note(買受・売却ノート): 株式の売買が行われたことを証明する一対の書類。
取締役会の議事録・決議書(Board Minutes / Resolutions): 譲渡を承認した証明。
最新の監査済財務諸表(Audited Financial Statements): 直近の監査済決算書です。印紙税の算定で必要となります。
最新の財務諸表(Management Accounts): 直近の監査から時間が経っている場合、現時点の資産状況を示すために必要となります。直近3ヶ月以内の決算書が必要です。印紙税の算定で必要です。
「印紙税(Stamp Duty)」の計算と期限
香港の株式譲渡で一番のキモとなるのが、この印紙税です。実務上、以下の3点には特に注意してください。
基準は「高い方の金額」
印紙税を計算する際、ベースとなる金額は以下のいずれか高い方が採用されます。
実際の売買価格(Consideration)
対象株式の純資産価値(Net Asset Value: NAV)
例えば「1万香港ドルで株を売ります」と当事者間で決めても、会社の財務状況(純資産)を見てその株式の価値が「10万香港ドル」あると判断されれば、10万香港ドルをベースに税金が計算されます。
現在の印紙税率は「0.2%」
現在の株式譲渡における印紙税率は、ベースとなる金額の0.2%(売り手0.1%、買い手0.1%の合計)です。これに加えて、書類1通につき5香港ドルの固定費用がかかります。
インターネット上の古いブログ記事などでは「税率0.26%」と書かれていることがありますが、これは過去の税率です。法律が改正され、現在は0.2%に戻っています。
提出の「期限」に注意
書類に署名(実行)した日から税務局へ提出するまでの期限は、当事者の居住地によって異なります。
双方が香港内にいる場合: 実行日から2日以内
一方、または双方が香港外(日本など)にいる場合: 実行日から30日以内
期限を過ぎると、最大で印紙税額の10倍の過怠金(ペナルティ)が科されるリスクがあるため、スケジュール管理は大切です。
手続きにかかる日数の目安
すべてがスムーズに進行した場合、書類の作成・署名まで含めた全体では約2週間が目安です。
⏳ 標準的なスケジュール(約2週間)
書類の作成・署名(1週間): 会社秘書が譲渡書類を作成し、売り手・買い手双方がサインをします。
税務局での印紙税手続き(1〜2営業日): 香港税務局(IRD)に書類を提出し、印紙税を支払って捺印(Stamping)をもらいます。窓口や電子申請であれば、通常1〜2営業日で処理されます。
株主名簿の書き換え・新株券の発行(数日): 捺印された書類を会社秘書に戻し、社内データ(株主名簿)を更新、新しい株券を発行します。
⚠️ 日数が延びてしまうケース
一見すると2週間で終わる簡単な手続きに思えますが、実務では数週間〜1ヶ月以上かかってしまうケースがあります。
「直近の財務諸表」の用意に時間がかかる
税務局に印紙税を申請する際、現在の株式の評価額の妥当性を証明するために「直近3ヶ月以内の財務諸表(Management Accounts)」の提出を求められます。日頃からリアルタイムで記帳を行っていない場合、財務諸表を作るだけで1ヶ月以上かかってしまうことがあります。
日本と香港での「書類の郵送・サイン」の往復
売り手や買い手が香港外にいる場合、書類にサインをして、国際郵便(DHLやEMSなど)で香港へ送り返す往復の時間がプラスされます。
まとめ:実務は「会社秘書役」と連携して計画的に
最速で終わらせるためのコツは、「まずは会計の記帳状況を確認し、直近の決算書をすぐに出せる状態にしておくこと」です。数字さえ固まっていれば、あとは会社秘書役が進めてくれます。
「来月には株主を変えたい」という場合は、トラブルや郵送の手間も見越して、少なくとも1ヶ月前には専門家や会社秘書役(Company Secretary)に依頼しましょう。



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