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香港法人の株式譲渡(株主変更)の手続

  • 1 日前
  • 読了時間: 5分

更新日:18 時間前

2026年6月


香港でビジネスを行っていると、パートナーの交代やグループ内の組織再編などで「株主の変更」という場面が出てくることがあります。

香港法人の株式譲渡(Share Transfer)の手続きをスムーズに進めるために知っておくべき全体的な流れ、必要な日数、そして重要ポイントを解説します。



株式譲渡の全体的な流れ

香港法人の株式譲渡は、大きく分けて以下の4つのステップで進みます。


① 取締役会による承認(Board Approval)

まずは会社の取締役会で、株主の変更(株式の譲渡)を承認する決議を行います。香港法人の「会社の定款(Articles of Association)」に譲渡制限などの特記事項がないか、事前に確認しておくことが大切です。

② 必要書類の作成と署名

譲渡人(売り手)と譲受人(買い手)の間で契約を交わし、香港の規定に沿った公式な譲渡書類を作成して、双方で署名(サイン)を行います。

③ 印紙税(Stamp Duty)の申告・支払い

香港法人の株式譲渡において最も重要なステップです。香港税務局(IRD)の印紙税局(Stamp Office)に書類を提出し、印紙税を支払って捺印(Stamping)を受けます。これを行わないと譲渡の法的効力が認められません。

④ 会社名簿の更新と新株券の発行

会社秘書役が「株主名簿(Register of Members)」を書き換え、新しい株主に「株券(Share Certificate)」を発行することで、正式に手続きが完了します。


💡 補足: 次回の年次報告書(Annual Return)提出時に、新しい株主情報を会社登記局(Companies Registry)へ報告します。

 

手続きに必要な主な書類

手続きにあたっては、主に以下の書類を用意する必要があります。

  • Instrument of Transfer(譲渡証書): 株式の所有権を移転するための法的な書類。

  • Bought Note / Sold Note(買受・売却ノート): 株式の売買が行われたことを証明する一対の書類。

  • 取締役会の議事録・決議書(Board Minutes / Resolutions): 譲渡を承認した証明。

  • 最新の監査済財務諸表(Audited Financial Statements): 直近の監査済決算書です。

  • 最新の財務諸表(Management Accounts): 直近の監査から時間が経っている場合、現時点の資産状況を示すために必要となります。

 

「印紙税(Stamp Duty)」の計算と期限

香港の株式譲渡で一番のキモとなるのが、この印紙税です。実務上、以下の3点には特に注意してください。

 

  1. 基準は「高い方の金額」

印紙税を計算する際、ベースとなる金額は以下のいずれか高い方が採用されます。

  • 実際の売買価格(Consideration)

  • 対象株式の純資産価値(Net Asset Value: NAV)

例えば「1万香港ドルで株を売ります」と当事者間で決めても、会社の財務状況(純資産)を見てその株式の価値が「10万香港ドル」あると判断されれば、10万香港ドルをベースに税金が計算されます。


  1. 現在の印紙税率は「0.2%」

現在の株式譲渡における印紙税率は、ベースとなる金額の0.2%(売り手0.1%、買い手0.1%の合計)です。これに加えて、書類1通につき5香港ドルの固定費用がかかります。

インターネット上の古いブログ記事などでは「税率0.26%」と書かれていることがありますが、これは過去の税率です。法律が改正され、現在は0.2%に戻っています。

 

  1. 提出の「期限」に注意

書類に署名(実行)した日から税務局へ提出するまでの期限は、当事者の居住地によって異なります。

  • 双方が香港内にいる場合: 実行日から2日以内

  • 一方、または双方が香港外(日本など)にいる場合: 実行日から30日以内

期限を過ぎると、最大で印紙税額の10倍の過怠金(ペナルティ)が科されるリスクがあるため、スケジュール管理は大切です。

 

手続きにかかる日数の目安

すべてがスムーズに進行した場合、書類の作成・署名まで含めた全体では約2週間が目安です。

⏳ 標準的なスケジュール(約2週間)

  • 書類の作成・署名(1週間): 会社秘書が譲渡書類を作成し、売り手・買い手双方がサインをします。

  • 税務局での印紙税手続き(1〜2営業日): 香港税務局(IRD)に書類を提出し、印紙税を支払って捺印(Stamping)をもらいます。窓口や電子申請であれば、通常1〜2営業日で処理されます。

  • 株主名簿の書き換え・新株券の発行(数日): 捺印された書類を会社秘書に戻し、社内データ(株主名簿)を更新、新しい株券を発行します。

 

⚠️ 日数が大幅に延びてしまう「3つの落とし穴」

一見すると2週間で終わる簡単な手続きに思えますが、実務では数週間〜1ヶ月以上かかってしまうケースがよくあります。

  1. 「直近の財務諸表」の用意に時間がかかる

税務局に印紙税を申請する際、現在の株式の評価額の妥当性を証明するために「直近3ヶ月以内の財務諸表(Management Accounts)」の提出を求められます。日頃からリアルタイムで記帳を行っていない場合、財務諸表を作るだけで1ヶ月以上かかってしまうことがあります。

  1. 日本と香港での「書類の郵送・サイン」の往復

売り手や買い手が日本にいる場合、紙の書類に直筆サイン(または法人の登記印などの押印)をして、国際郵便(DHLやEMSなど)で香港へ送り返す往復の時間がプラスされます。

  1. 税務局から「ちょっと待った」が入る(審査の長期化)

もし「会社の純資産(NAV)」に対して、実際の「売買価格(取引額)」が極端に安すぎる場合、税務局から「なぜこの金額なのですか?」と追加の質問(クエリ)や追加書類の提出を求められることがあります。これに捕まってしまうと、税務局との往復で1ヶ月以上審査が長引くこともあります。

 

まとめ:実務は「会社秘書役」と連携して計画的に

香港法人の株式譲渡は、書類の文言や直近の財務データの精査、税務局への迅速な申請など、専門的な知識とスピードが求められます。

最速で終わらせるためのコツは、「まずは会計の記帳状況を確認し、直近の数字をすぐに出せる状態にしておくこと」です。数字さえ固まっていれば、あとは会社秘書役がテキパキと進めてくれます。

「来月には株主を変えたい」という場合は、トラブルや郵送の手間も見越して、少なくとも1ヶ月前には専門家や会社秘書役(Company Secretary)に依頼しましょう。

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