【2026年版】海外法人 設立費用・税率を12カ国比較
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海外法人の設立を検討している方から、よく聞かれる項目は次の4つです。「日本人1人の株主で設立できるか?」「日本人1人の取締役で設立できるか?」「税率は?」「設立・維持費はいくらぐらい?」。
本記事ではよく話題に上がる12カ国(法域)を、この4ポイントで比較してみました。

海外法人の設立費用・税率を12カ国で比較
下記の株主・取締役1名というのは日本居住(現地に住んでいない)日本人1名で会社設立可能かどうかという意味です。コストは政府費用・サービス提供会社による代行手数料・監査費用・名義役員費等を考慮しています。この表はあくまで目安ですので、詳細は現地の会計事務所等にご確認ください。
法域 | 株主1名可 | 取締役1名可 | 法人税率 | 設立・維持 コスト |
香港 | ◯ | ◯ | 8.25%/16.5%・域外所得は原則非課税(注1) | $$ 標準 |
シンガポール | ◯ | ✕ 居住役員必須 | 一律17%(新設は実効2〜5%) | $$ 標準 (注2) |
マカオ | ◯ | ◯ | 12%(60万パタカ超)・2026年から域外所得非課税 | $$ 標準 |
タイ | △ 原則49%まで | ◯ | 一律20%(BOIで最大13年免税)(注3) | $$$$ 特高コスト (注4) |
マレーシア (ラブアン) | ◯ | ◯ | 取引業3%/持株業0% (実体必要) | $$$ 高コスト |
セーシェル(IBC) | ◯ | ◯ | 域外0%/国内15%・25%(特定活動のみ実体要件) | $ 低コスト |
BVI | ◯ | ◯ | 0%(特定活動のみ実体要件) | $$ 標準 |
ケイマン | ◯ | ◯ | 0%(特定活動のみ実体要件) | $$$ 高コスト |
ジョージア(LLC) | ◯ | ◯ | 留保0%・分配時15%+非居住者配当WHT5%/ITゾーン0%(注5) | $ 低コスト |
UAE(ドバイ・RAK等フリーゾーン) | ◯ | ◯ | 9%/フリーゾーン適格所得0%(注6) | $$$$ 特高コスト |
米国(デラウェアLLC) | ◯ | ◯ | パススルー(米国源泉所得がなければ米国課税0%) | $ 低コスト |
英国(Ltd) | ◯ | ◯ | 19%/25%(間はマージナルリリーフ) | $ 低コスト |
凡例:$ 低コスト / $$ 標準 / $$$ 高コスト / $$$$ 特高コスト
(注釈)
香港:課税所得2M香港ドル(約4千万円)まで税率8.25%
シンガポール:監査は小規模会社(small company)は免除。日本親会社の現地子会社は、グループ全体の連結基準で監査必須になりやすい(日系企業の子会社はこれに該当することが多い)。表の$$評価は監査不要の場合
タイ:外資50%以上の場合、最低資本金200万バーツ(約850万円)の払い込みが必要
タイ:法人税は普通20%だが、BOIの認可を取れた奨励事業なら、最長13年(多くは3〜8年)その20%が免除される
ジョージア:留保0%とは利益を会社に残している限り法人税ゼロ、「配当」として株主に分配する段になって、初めて15%の法人税がかかります。
UAE:9%は本土・フリーゾーン共通の標準税率。0%はフリーゾーンで適格条件(実体含む)を満たした適格所得のみ。本土会社は優遇用の実体要件は不要だが、オフィス等の運営コストが必要。
表の読み方
ポイントは2つです。
ひとつ目は、「1人で完結できるかどうか」で国が3グループに分かれること。
香港・マカオ・セーシェル・BVI・ケイマン・ジョージア・UAE・米国・英国は、日本人1人が株主も取締役も兼ねて非居住のまま作れます。
シンガポールは株主は1人でOKでも現地居住の取締役が最低1名必要で、1人では完結しません。
タイはそもそも外資100%が原則不可(BOI等の例外あり)です。
ふたつ目のポイントはコストです。
コストの内訳
会社は作って終わりではなく、毎年維持し続けるものです。コストの内訳は主に次の5つです。
① 経済実体要件(サブスタンス)── ただし「中身が2タイプある」
OECDの国際ルール強化以降、オフショアには「経済実体規制(Economic Substance)」が導入されましたが、国・法域によってそのルールは異なります。
タイプA:優遇税率を取るための「参加費」型 ── ラブアン
低税率そのものの取得条件として、現地に実体を持つことが求められます。ラブアンで3%を取るには現地2名の雇用+年5万リンギット(約160万円)の支出が必要で、満たさなければ標準の24%に跳ね上がります。実体が事実上の“参加費”になっていて、政府費用は安くても総コストが重くなるのはこのためです。
UAEフリーゾーンは事情が少し違う。UAEも0%を取るには実体(QFZP条件)が要りますが、満たせなくても税率は標準の9%で頭打ち。ラブアンの24%のような跳ね上がりはありません。UAEが高コストなのは税率の罰則ではなく、フリーゾーンのライセンス費(年3,000〜10,000USD)そのものが高いためです。これは0%を狙わず9%を受け入れる場合でも、フリーゾーンに登記する限りかかります(オフィスはフレキシデスク等で代替可、ビザは任意)。本土(メインランド)会社を選べばライセンス費は避けられますが、その場合は実在オフィス(賃料)が必要になります。なお0%はフリーゾーンで適格条件を満たした所得に限られ、本土会社・非適格所得はいずれも9%です。
タイプB:特定活動のみ対象の「限定」型(原則は軽い)── BVI・ケイマン・セーシェル
こちらは税率がそもそも0%。実体が必要なのは、銀行業・保険・ファンド運用・知財・持株会社といった特定の「関連活動(relevant activities)」を行う会社だけです。一般的な貿易・投資・コンサル目的のIBCは実体テストの対象外で、現地にオフィスや従業員を構える必要はありません。これらの法域のIBCの大多数は実体を持たないペーパーカンパニーです。
ただし「実体不要」=「放置可」ではない点に注意。登録代理人の維持、年次の経済実体「届出」(自社が関連活動に当たらない旨の申告を含む)、受益者情報の保管といったコンプライアンス上の維持義務は残ります。BVIではこれに加え、近年年次財務報告(AFR)の提出が義務化されました。
② 毎年の監査
香港は規模に関係なく毎年の法定監査が必須で(小規模会社の免除制度がありません)、これが会計事務所への継続費用になります。一方、BVI・セーシェル・ケイマンといったオフショアIBCは監査不要。香港を「標準($$)」、セーシェルを「低($)」に置いた差は、ほぼこの監査の有無です。
シンガポールやイギリスは、一定の基準を下回る会社に法定監査の免除を認めており、上記の表のコスト評価では監査が必要ない規模の会社を想定しています。
③ 名義役員(ノミニー)
シンガポールは居住取締役が必須なので、現地に人脈がなければ名義役員サービスを使うことになり、年2,000〜4,000シンガポールドルが固定で発生します。費用だけでなく、他人が取締役に名を連ねる管理リスクも抱えます。
④ 最低資本金・ビザ
タイで外資100%を取りに行くと、最低資本金200万バーツに加え、就労ビザやFBL/BOI認可の手続きまで一式必要になります。税率20%そのものは普通でも、入口の重さで「特高」になります。
⑤ 登録代理人・年次更新・記録保管
オフショアは現地の登録代理人が必須で、その年次費用がかかります。さらに近年は、財務諸表の提出が不要でも会計記録の数年間保管が義務(セーシェルは半期ごとの記録提出)になるなど、「作って放置」が許されない方向に進んでいます。
つまり比べるべきは初期費用ではなく「年間維持費+実体要件まで含めた総負担」。表の右端は、その視点で区分しています。
マカオが「域外非課税」に加わった(2026年〜)
今年の大きな変更点として触れておきたいのが、マカオが2026年1月から域外所得非課税のテリトリアル課税に移行したことです。これまで「域外所得を非課税にしたい=香港」がほぼ一択でしたが、マカオも選択肢として並びました。12%(60万パタカ超)という低税率はそのままで、海外で稼いだ所得が課税対象から外れる。香港の代替・補完として今後注目されます。
ラブアン・UAEは「ビザ目的」での設立も多い
ラブアン・UAE(特にドバイ)は、節税よりむしろ居住ビザ(レジデンスビザ)の取得を目的に会社を設立する人が多いのが実態です。UAEはフリーゾーン会社で投資家ビザが取得でき、個人所得税ゼロの居住者になれる。ラブアンも会社役員としてマレーシアの就労ビザにつながります。「法人の低税率」は入口で、本当の狙いがその国の居住者になること、というケースは少なくありません。
ただし注意点として、UAEやマレーシアのビザを取っても、それだけで日本の非居住者になれるわけではありません。日本の居住者判定は生活の本拠の実質で見るため、生活実態を移さなければ日本の全世界課税が続きます。移住を前提とするなら、出国税(国外転出時課税)やビザ維持の滞在要件もあわせて検討が必要です。
まとめ:選び方の目安
とにかく安く・速く・1人で → セーシェル・ジョージア・英国・米国LLC
域外所得を非課税にしたい王道 → 香港・マカオ(2026〜)
同じ属地主義だが税率高め+居住役員が必要 → シンガポール
税率0%・特定の関連事業以外は実体は不要 → BVI・ケイマン・セーシェル
低税率0%だが実体要件や高い固定費が条件 → ラブアン・UAEフリーゾーン(※会社設立で居住ビザが取れるため、ビザ取得目的での設立も多い)
現地で実ビジネスを展開する前提 → タイ
留意点
日本居住で海外法人を設立するとタックスヘイブン対策税制(CFC課税)についての理解が必要となります。下記のブログをご参照ください。


![香港会社設立|必要書類・流れ・費用等を解説 [2026年版]](https://static.wixstatic.com/media/nsplsh_e0431ec8f961485086c2da7119cd1340~mv2.jpg/v1/fill/w_980,h_653,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,enc_avif,quality_auto/nsplsh_e0431ec8f961485086c2da7119cd1340~mv2.jpg)
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